Gymaira Gallery

Chapter of ULTRAMAN80 ~GYMAIRA~

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吸血怪獣 ギマイラ

第17話 『魔の怪獣島へ飛べ!!(前編)』
第18話 『魔の怪獣島へ飛べ!!(後編)』より 吸血怪獣ギマイラ
KOMORI PROJECT第5弾

『四つ足怪獣ではなく二足歩行の怪獣で好きなものは何か?』
真っ先に頭に浮かんだのがギマイラでした。「ウルトラマン80」を代表する大怪獣。自分でも驚きましたが、その印象は意識の深いところに刻まれていたようです。ただ、正統派の姿のわりにはやる事が狡猾なんですよね~。洞窟に潜んだまま咆哮で怪獣を操ったり、怪光線を放って人間を怪獣化したり、催眠効果のある霧を出しては人間を集め、長い舌に巻き付けて生き血やエネルギーを吸い取ったり。まるでドラキュラの如きやり口です。でもね、そうは言ってもやっぱりカッコいいんですよ。鼻先の巨大な一本角、全身を埋め尽くす大小の棘、姿はS字型のシルエット。余計なものは何も無い。直球ストレートな大怪獣なんです。
『ギマイラを僕の思いまで汲み取って造型してくれるのは誰か?』
そりゃもうこの方しかいませんでした。ゴートの杉本浩二氏です。まったくの同世代であり、観てきたもの体験してきたものが同じ、更には昭和に限らず平成、令和に至るまで、すべての怪獣に愛を注げる人。博愛の原型師。「ギマイラを造ってくれませんか」と相談した時、即答で「やります。ギマイラ! 好きなんです」と答えてくれた事、忘れもしません。だから、造型に関するリクエストは出しませんでした。杉本流のギマイラを造ってください。それが僕の見たいギマイラに決まっているからです。そうして仕上がった原型を見た時、ゾゾゾではなくザザザと鳥肌が立ちました。全体のバランスは言うまでもなく、「迂闊に触ったらケガするよ」と言わんばかりの超絶な棘、棘、棘。呆れたことに長いのと短いの、二種類の舌があるし……。まさにギマイラ愛の結晶が目の前にありました。 
『えーっと、ギマイラって何色だっけ』
そうなんです。問題はギマイラの体色ですよ。暗い青だというのは分かるんですが、本編映像やムック本を開くとどれも微妙に色が違って見える。紫っぽくもあるし、緑に寄っている感じもする。随分と考えあぐねた結果、全部取り込む事に決めました。黒も青も紫も緑も全部注ぎ込んで、分厚いギマイラの皮膚を表現してやろうと。一番深い部分にはアクリルのミッドナイトブルー(71)を使っています。ブルーFS(326)やフィールドブルー(XF-50)、キャラクターブルー(110)なんかも。足したり引いたりしながら塗り込みました。棘の塗装はエアブラシだけでは届きません。筆も存分に活用し、エナメルのラバーブラック(XF-85)やジャーマングレー(XF-63)などでしっかり墨入れしてください。注意点としては接着の順番です。慌てて手足、尻尾をつけてしまうと、筆すら届かない場所が出てきてしまいますので、仮組をして何度も状況を確認しながら作業を進めて下さい。それともう一つ、作業する際、手袋は必須です。軍手ではなくゴム手袋系をお勧めします。様々な色のバリエーションを使うとは言え、全体的には暗いトーンの仕上がりになります。だから、汚しを入れてより複雑に、立体的に見えるように工夫しました。完成した写真を杉本さんに見せたところ、こんな言葉が返ってきました。
「スーツ本体が地味目な体色です。30cmサイズのキットで再現するのをかなり悩まれたと思いますが、各部のグラデーションがとても効いていて素晴らしいです」
良かった……。報われた~。
おそらくお互いがそう思ったのかもしれません。

昭和の最後を飾るテレビシリーズ、「ウルトラマン80」。そこには魅力的な怪獣達がひしめいています。ですが、残念ながらスポットライトが当っているとはいえない状況です。今回、コモリプロジェクトでその一翼を担えた事は本当に幸せです。吸血怪獣ギマイラ、自信を持って皆さんにお届けいたします。

全高 重量 パーツ数 付属品 原型師
340mm 3200g 12点
(舌、含む)
舌パーツ
(長い・短い)
杉本 浩二