「少年は親や親戚の叔父さんにソフトビニールの怪獣を一つもおねだりしなかった。 怪獣が三度の飯よりも好きなくせにである。その理由はたった一つ、「似てない」からだ。顔も体型もまったく違う怪獣達がおもちゃ屋にズラリと並んでいる。何よりイヤだったのはその体色、色である。ほんとうは茶色の怪獣なのに青が塗られ、緑の怪獣なのにオレンジが塗られている。子供心にそれがどうにも我慢出来なかった。 そんな少年が高校生になった頃、ふと手に取った雑誌に釘付けとなる。今までに見た事もないほどリアルな造型、そして本物そっくりの体色………、まさに衝撃だった。少年は自分の求めていたものはこれだと確信した。 「ガレージキット………」 ソフビでもプラモデルでもない、そこには初めて目にする言葉が綴られていた――」 小森陽一 オフィシャルサイト http://www.y-komori.net/ |
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