diary.82 カニの標本

勢いに乗って南海の大怪獣最後の一体に取りかかりたいと思います。2016年、レジンシェフとうけけ団より発売された、大蟹怪獣ガニメです。

パーティングラインを削って、洗浄して、綺麗に並べて撮影したら、まるでカニの標本のようになりました(笑) それにしてもなんとも複雑で細かいパーツ割りです。
特に口の周囲の造り込みは圧倒的で、パーツを見て初めて形状が知れたという感じです。原型は杉田知宏氏。さすがはこだわりの杉田造型、体表のざらつきなんかも実に見事で、作業をしていてもまったく飽きるということがありません。

ただ、今回の難関は植毛です。ガニメの全身に生えた茶色の毛を塗装後に貼っていく必要があります。はてさて、上手く出来るのやら……。今のところなかなかゴールがイメージ出来ません。

ゲゾラ・ガニメ・カメーバ、三体揃ったらホビージャパンの誌面を賑わせたいとも考えています。

こうご期待!

diary.81 南海の大怪獣

皆さん、GWはいかがお過ごしだったでしょうか。全国的に天気はそれなりに良かったみたいだから、おそらく楽しいひと時を過ごされたでしょう。

僕はGW期間中に一つ歳を取りました。友人とお茶を飲んだり、出かけた先で散歩をしたり、執筆をしたりキットを制作したりと幸せな時間を満喫しました。そんな中で完成に至ったのが南海の大怪獣の内の一体、大ガメ怪獣カメーバです。

詳しい解説はガレージキットギャラリーの方にアップしますので、こちらではちょっと別のことを。ある人がガレージキットのことをこんな風に評しました。
「ガレージキットのネックは集中力が持たないこと」
なるほど、それは一理あるなと思いました。
削って → 洗って → 乾かして → 組み立てて → パテ埋めをして → また削って → サフを塗って → ようやく塗装を始められる。時短が当たり前の世の中、確かにこれは手間がかかり過ぎますもんね。

おそらくガレージキットは気長な人に向いているものなのかもしれません。隙間時間にコツコツとやれる人、『兎と亀』で例えるならカメタイプです。
「これではユーザーも大きくは広がらないでしょう」
兎さん、確かにその通り。僕もある程度以上は広がらないと思います。

でも、好きな人は多いんですよ。「ガレージキットの完成形が好き」という人は世界中に増え続けています。カメタイプの人がキットを制作して、それを販売する。もちろん今もそういう仕事はありますが、作業代行なんてものではなく、もっともっと日の当たる場所で評価されてもいいように思います。だって、なかなか真似の出来ないことをやっているわけですから。

ちなみにカメーバの制作は亀だけに二ヵ月近くかかっていると思います。間違いなく僕もウサギではなくカメタイプです(笑)

diary.80 リペイント

もう見ていただけたでしょうか。アロンのリペイント画像。以前載せていた画像と比較すると、やはり大きな差があります。

いえね、前が決して気に入らないというワケじゃないんです。前のは前ので当時の精一杯でやったわけですから。比較するんではなく、新たな始まりとして捉えていただけたらと思います。

昔のものを直したり、作り替えたりすることってとても面白いです。当時は出来なかった表現が、技量の向上や道具の進化で可能になったりします。すると、まったく新しい作品に見えてきたりします。これって映像で例えればブルーレイとか4Kなんかがそうかもしれません。AIもそうですね。綺麗にすることで、色がついたり動いたりすることで新鮮に生まれ変わります。

あとね、モノを大切にしようって気持ちにもなります。埃を被ったまま隅に置いておくんじゃなく、目立つところに引っ張り出して紹介したり自慢したくなります。これって自分もキットもウインウインですよね。

もう、やめられない止まらない。かっぱえびせん状態です。これからも定期的にリペイントした作品をアップしていこうと思います。皆さんもじゃんじゃんお試しあれ。

diary.79 新たなる光

先頃、友人に教えられてライトボックスなるものを購入しました。つまりは簡易のスタジオみたいなもので、組み立てると四角い箱になります。天井にはLEDの照明、内側はアルミ張りで光を反射し、折り畳み式ですので使い終わったらすぐに仕舞える優れもの。それに、背景に使うバック紙として、黒・白・オレンジの三色の不織布が備えられているのもポイントが高いです。

これまでキットを撮影する時は仕事場に備え付けられたベージュ色のロールカーテンを背景として使っていました。でも、十四~五年も経つとそりゃ汚れも目立つようになります。それに、元々ベージュは背景としては馴染みがよくありません。キットの輪郭はぼやけるし、何より全体のトーンが黄色くなるのが辛い。

ものは試しと早速キットを引っ張り出してスマホで撮ってみました。使ったのは情報量の多い30cmサイズではなく、平均が17cmというボークスJr.のキットです。当然ながら見栄えという点では大きなキットに劣ります。ですが、いかがでしょうか。撮影したこの画像、特に加工とかしてないんですよ。なんだか存在感が倍増したというか、魅力が高まったというか、自分でもちょっと驚きました。

ただね、こうなると反面、粗も目立ちます。中には作って三十年近くになるものもありますし、画像に寄っていくと目玉の形が歪んでいたり、歯の塗りが雑だったり、色剥げしていたりといろんな気になる部分が見えてきます。だからこれも買いました。拡大鏡。サンバイザーみたいに頭に被って使うんですが、ライトを当てて手元を拡大すると……これまで見えていなかった世界がくっきりはっきりと見えてきました。これでもう老眼とはおさらばですが、同時に(見えないから)という言い訳も通用しなくなりました。早速、勢いに任せて目の前にあったキットの表情に筆を入れました。どんどんよくなるから時間を忘れて熱中しました。

あぁ、僕は一体いつまでこれをやるんだろうと思いつつ、同時に武者震いが抑えられないのであります……苦笑

diary.78 赤マイマイ

『帰ってきたウルトラマン』の第32話、「落日の決闘」に登場する変幻怪獣キングマイマイ、その幼虫を作っています。

どう塗り進めようかと本編の映像や資料画像を眺めていたら、暗い体表の凹の部分に赤茶色が見えます。(よし、これを軸にやっていこう)と決めました。でもね、このやり方はなかなか手間がかかります。以前、アクロさんのゴモラでやった時も大層な時間がかかりました。色を沈めつつ残すわけですからね。

どこまでイメージに近づけるかは分かりませんが、原型を造られた森下要氏を喜ばせられるようなものにはしたいです。

乞うご期待。

diary.77 ウラン怪獣、三十一年ぶりに現る

『ウルトラマン』第9話、「電光石火作戦」に登場するウラン怪獣ガボラ、こんな感じでフィニッシュしました。

以前にも書きましたが、このキットはファルシオン製、稲田喜秀氏が原型を務めています。更に言えば、これは数量限定のレジン版です。幸運なことに手にいれる機会に恵まれました。

驚くべきはこのガボラ、発売が平成6年(1994)、今から31年も前だということです。にもかかわらず、今以て傑作の誉れが高い。素晴らしいですね。表現者としてとても憧れます。

詳しい内容はキットのページに書きました。合わせて読んでみてください。

diary.76 発見と想像

3月25日売りの『月刊ホビージャパン』5月号には「発見と想像」と題し、怪獣ガレージキットにまつわる話を展開しています。

見開きには沢山の格闘の後がコラージュされているので、ぜひ手に取っていただきたいと思います。(あー、これ作ったなぁ)とか(へぇ、こんな風にアプローチしてるのか)なんていろんな思いが沸き上がることでしょう。

今、発見と想像の真っ只中にあるのはウラン怪獣ガボラファルシオンから発売された稲田喜秀氏の傑作造型です。

いわゆる立ちガボラですね。幸いにも僕は希少なレジン版を手にすることが出来ました。なのでこれ、抱えるとずっしり重たいです。砲丸みたいなガボラを抱えながら、夜な夜な筆を走らせて愉しんでいます。

diary.75 牛神超獣、現る

自然の怒りであるザンボラーに続いて完成したのは、牛の呪いである牛神超獣カウラです。

毎度そうなんですが、超獣は歯応えがあります。なんせこのド派手なコーデですからね、一期目の怪獣に比べたら、段取りも色数もまったく違います。でも、不思議とこれがクセになるんです。病みつきになるんです(笑)  

原型はゴートの杉本浩二氏。おそらく杉本さんもそうだと思います。超獣という複雑怪奇な存在が愛しくて仕方がないのだと、圧倒的な造り込みからひしひしと伝わってきます。

また一つ、飾り棚に賑やかな存在が加わりました。詳しい解説はガレージキットのコーナーにアップしますので、どうぞそちらもご覧になってください。

diary.74 イベントのお知らせ

来月ですが、都内の蔦屋書店にて『ツイン・アース』のトークイベントをやります。
直に皆さんの感想や反応を見られることがとても楽しみです。


  
詳細は下記に記します。
ご来場、お待ちしております。

円谷プロ presents Event

先着申込
申込期間
2025年3月19日(水) 17:45 – 2025年4月9日(水) 18:30
会場 TSUTAYA BOOKSTORE MARUNOUCHI
https://www.sharelounge.jp/store/2046

▼イベントタイトル
円谷プロが贈る新たなる〈アート〉!
~冒険SFファンタジー小説『ツイン・アース』の空想世界~
小森陽一×箭内道彦トークイベント

▼イベント内容
円谷プロダクションが生み出した、全く新しいストーリー。

それは、もうひとつの地球[Terra-α]で繰り広げられる、興奮と感動の冒険SFファンタジー小説『ツイン・アース』(集英社文庫)だ。

フィンランドに住む若きオーロラ研究者アイノが、不思議な現象に導かれて訪れた場所は、もうひとつの地球[Terra-α]だった……。

見たこともない先進的なテクノロジーに支えられた都市に住む人間たちと、大自然の中で棲息する怪獣たちが共生する世界で、 アイノは生命と向き合い、新たなものの見方を発見していく――。

『ツイン・アース』著者であり、作家・漫画原作者・脚本家として活躍する小森陽一氏と、気鋭のクリエイティブディレクターであり、 東京藝術大学教授でもある箭内道彦氏による「空想とアート」をめぐるトークイベントを開催します。

▼登壇者紹介

・小森陽一(作家/『ツイン・アース』著者)
大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業後、東映などを経て作家活動。漫画原作に「海猿」「トッキュー!!」「我が名は海師」「S 最後の警官」「BORDER66」「ジャイガンティス」など。小説は「DOG×POLICE」「天神」シリーズ、「オズの世界」「インナーアース」「GIGANTIS volume1 Birth」など。映画・テレビドラマ化作品も多数。大阪芸術大学客員教授。

・箭内道彦(クリエイティブディレクター)
東京藝術大学美術学部デザイン科卒業後、博報堂を経て、風とロックを設立。タワーレコード「NO MUSIC, NO LIFE.」など、数々の話題の広告キャンペーンを手掛ける。福島県クリエイティブディレクター、東京藝術大学学長特命・美術学部デザイン科教授、2011年「NHK紅白歌合戦」出場のロックバンド、猪苗代湖ズのギタリストでもある。

・モデレーター:清水 節(映画評論家)
日大藝術学部映画学科、CM製作会社などを経て、編集・執筆・クリエイティブディレクション。円谷プロ「ULTRAMAN ARCHIVES」に携わり、著書に「新潮新書 スター・ウォーズ学」「いつかギラギラする日 角川春樹の映画革命」など。WOWOW「撮影監督ハリー三村のヒロシマ」企画・構成・制作で国際エミー賞、民放連賞、ギャラクシー賞を受賞。

■開催日時
2025年4月9日(水)
19:00~20:00
※開場:18:30~
■開催会場
TSUTAYA BOOKSTORE MARUNOUCHI SHARELOUNGE
https://www.sharelounge.jp/store/2046
■参加費※すべて税込
①店頭参加チケット:無料
②店頭参加+書籍付きチケット:913円
③オンライン参加チケット:無料
※②のチケットをご購入のお客様限定で、お渡しさせていただく書籍にはサインが入ります。
■定員数(先着順)
店頭参加:50名限定
※オンライン参加も可能です。
■申込締切
2025年4月9日(水)~18:30
■注意事項
①お申込みの際
・止むを得ずイベントが中止、内容変更になる場合があります。
・お客様ご都合によるキャンセルは承っておりません。
・お申込みチケットの転売、譲渡はご遠慮ください。
・本イベントはTポイント対象外となります。
②ご来場の際
・お座席は自由席です。会場にお越しの順にご入場いただきます。
・主催者からの許可がある場合を除き、録音・録画はご遠慮頂いております。
・イベントの写真、映像などがメディアに公開される可能性がございます。
・貴重品は自己管理でお願いいたします。
・マスク着用はお客様の判断に委ねます。
・高齢の方や基礎疾患をお持ちの方は、ご自身の体調と相談しながら出席の是非をご検討ください。
・スタッフの指示に従っていただけない場合、イベントへのご参加をお断りする可能性がございます。
■主催
TSUTAYA BOOKSTORE MARUNOUCHI
■共催・協力
円谷プロダクション
■お問合せ先
TSUTAYA BOOKSTORE MARUNOUCHI
03-6206-3767

diary.73 展示

先週末、福岡市六本松にある蔦屋書店にて地元の物産展が開催された。お味噌やプリン、乾物に革細工、なんと伊万里焼青山窯さんまで出店され、絵付けの体験までさせてもらえるという豪華さだった。僕も地元を盛り上げる一助として参加させていただいた。ちなみに僕はここで二度ほどトークショーをやったことがある。執筆にまつわる話を読者の皆さんの前で行うのは刺激があって好きだ。

都市圏と比較すると、地方においてガレージキットを展示する機会は少ない。ましてホビージャパンに毎号掲載されている素晴らしい作例品を直に見る機会はほぼ無いと言ってもいいだろう。作品は本やWEB上に載っているものももちろん良いが、自分の目で見るとまた違う感じを受ける。それが刺激にもなる。そういうこともあって、お話しをいただいたらなるべく参加しようと思っている。

グドン対ツインテールのジオラマは今月号のホビージャパンに掲載されている作例品だ。子供達はもちろん、大きな子供達も喜んでいただけたようである。夢中で写真を撮られている方もいたという話を聞いた。今回は故郷のイベント絡みだったが、また違う形の展示が出来ればと思っている。そんな話も進めているので楽しみに待っていていただきたい。