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diary.85 新作完成

先日お伝えしていた南海の大怪獣最後の一体、大蟹怪獣ガニメ。こんな感じに仕上がりました。なんか気持ち悪いくらい生物感があります。特に口の中は不気味で、作っていて鳥肌が立ちそうでした。現在は植毛中、仕上がったらしっかりライトボックスで写真を撮ってHPにアップします。

メーカー レジンシェフとうけけ団
原型   杉田 知宏氏

もう一体はガニメよりも先に制作を開始していた変幻怪獣キングマイマイ(幼獣)。赤茶色に塗ったベースからスタートして、青紫色の体色へと変幻しました。小説の追い込みやらなんやらでなかなか忙しくもあったんですが、本当は(ちょっとなぁ、どうしようかなぁ)と持て余し気味のところもあったんです。ガニメを塗り終えた勢いを借りて、一気に仕上げまで突っ走りました。こちらは解説共々HPにアップしていますので、よろしくご一読ください。

メーカー かなめみお
原型   森下 要氏

diary.84 リシュート

皆さん、HPのガレージキットコーナー、写真を撮り直し(リシュート)してアップしていること、ご存知でしょうか。中にはリペイントしたものもあり、そこは分けて表示するようにしています。

僕のキットの写真はいろんな使われ方をしているようです。懐かしむ系の方から、絵を描く時のサンプルにしている方、中には原型師さんが制作の参考にされていたり。なるべく沢山の人に応えつつ、文化財ともいうべき怪獣ガレージキットを知っていただく為、リシュートはまんべんなくぐるりと一周することに重きを置いています。

さて、こちらは今、大わらわで制作を進めている大蟹怪獣ガニメです。先日、小説を脱稿したので、次のタームに入るまでにガニメを仕上げようと気張っています。完成したらまんべんなく写真を撮ってアップします。それから、南海の大怪獣揃い踏みの写真も。どうぞお楽しみに。

diary.83 裏リスト

時々、展示の話が舞い込んできます。日程が合わなかったり予算がはまらなかったりと様々はありますが、またどこかのタイミングで行うことは確実でしょう。

展示の打ち合わせの際に必ず必要になるのが、「完成したキットの数」と「大きさ」です。数は会場内をどう埋めていくか、大きさはケースや台の検討に使います。中でも重要なのが、「どんなキャラクターなのか」というもの。世の中、僕みたいに怪獣に詳しい人ばかりとは限りません。むしろ、有名なキャラクターしか知らない人の方が圧倒的多数です。そんな方達にこれは映画、これはテレビ。どのシリーズに出ていて、特徴はこう。そういったバックボーンを伝えることも重要です

どこかのタイミングで一度すべてのキットをリストアップしようと思っていましたが、ようやく重い腰を上げて年頭から取りかかりました。大きいのから小さいのまで、持っているすべてのキットを洗い出し、完成させたキットの写真やデータを揃えていきました。いわばこれは表に出ない展示用の裏リストです。

やり始めると存外これが大変です。いかんせん数が多い。
(あんた、どんだけ作ったの?)
一人ツッコミをしてしまうほどです。総ページは270ページを越え、今なおリストは増殖中。このことを知った友人・知人からは、「これを本にして欲しい」と言われる始末です。いやいや、定価がどれくらいになるか想像出来んし(苦笑)

ただ、リストを作ったら別の問題が表に出てきました。まだ作っていないキットが可視化されたのです。見て見ぬふりをしてきたものが白日の下に晒されました。奥さんからも、「まだこんなにあるんだ」と呟かれましたよ。呆れる目で……。これはもう休んでるヒマなんてありません。ひたすら手を動かして作るべし。死ぬまでにすべてを作り終えるのがゴールのマラソンがスタートした気分です。

diary.82 カニの標本

勢いに乗って南海の大怪獣最後の一体に取りかかりたいと思います。2016年、レジンシェフとうけけ団より発売された、大蟹怪獣ガニメです。

パーティングラインを削って、洗浄して、綺麗に並べて撮影したら、まるでカニの標本のようになりました(笑) それにしてもなんとも複雑で細かいパーツ割りです。
特に口の周囲の造り込みは圧倒的で、パーツを見て初めて形状が知れたという感じです。原型は杉田知宏氏。さすがはこだわりの杉田造型、体表のざらつきなんかも実に見事で、作業をしていてもまったく飽きるということがありません。

ただ、今回の難関は植毛です。ガニメの全身に生えた茶色の毛を塗装後に貼っていく必要があります。はてさて、上手く出来るのやら……。今のところなかなかゴールがイメージ出来ません。

ゲゾラ・ガニメ・カメーバ、三体揃ったらホビージャパンの誌面を賑わせたいとも考えています。

こうご期待!

diary.81 南海の大怪獣

皆さん、GWはいかがお過ごしだったでしょうか。全国的に天気はそれなりに良かったみたいだから、おそらく楽しいひと時を過ごされたでしょう。

僕はGW期間中に一つ歳を取りました。友人とお茶を飲んだり、出かけた先で散歩をしたり、執筆をしたりキットを制作したりと幸せな時間を満喫しました。そんな中で完成に至ったのが南海の大怪獣の内の一体、大ガメ怪獣カメーバです。

詳しい解説はガレージキットギャラリーの方にアップしますので、こちらではちょっと別のことを。ある人がガレージキットのことをこんな風に評しました。
「ガレージキットのネックは集中力が持たないこと」
なるほど、それは一理あるなと思いました。
削って → 洗って → 乾かして → 組み立てて → パテ埋めをして → また削って → サフを塗って → ようやく塗装を始められる。時短が当たり前の世の中、確かにこれは手間がかかり過ぎますもんね。

おそらくガレージキットは気長な人に向いているものなのかもしれません。隙間時間にコツコツとやれる人、『兎と亀』で例えるならカメタイプです。
「これではユーザーも大きくは広がらないでしょう」
兎さん、確かにその通り。僕もある程度以上は広がらないと思います。

でも、好きな人は多いんですよ。「ガレージキットの完成形が好き」という人は世界中に増え続けています。カメタイプの人がキットを制作して、それを販売する。もちろん今もそういう仕事はありますが、作業代行なんてものではなく、もっともっと日の当たる場所で評価されてもいいように思います。だって、なかなか真似の出来ないことをやっているわけですから。

ちなみにカメーバの制作は亀だけに二ヵ月近くかかっていると思います。間違いなく僕もウサギではなくカメタイプです(笑)

diary.80 リペイント

もう見ていただけたでしょうか。アロンのリペイント画像。以前載せていた画像と比較すると、やはり大きな差があります。

いえね、前が決して気に入らないというワケじゃないんです。前のは前ので当時の精一杯でやったわけですから。比較するんではなく、新たな始まりとして捉えていただけたらと思います。

昔のものを直したり、作り替えたりすることってとても面白いです。当時は出来なかった表現が、技量の向上や道具の進化で可能になったりします。すると、まったく新しい作品に見えてきたりします。これって映像で例えればブルーレイとか4Kなんかがそうかもしれません。AIもそうですね。綺麗にすることで、色がついたり動いたりすることで新鮮に生まれ変わります。

あとね、モノを大切にしようって気持ちにもなります。埃を被ったまま隅に置いておくんじゃなく、目立つところに引っ張り出して紹介したり自慢したくなります。これって自分もキットもウインウインですよね。

もう、やめられない止まらない。かっぱえびせん状態です。これからも定期的にリペイントした作品をアップしていこうと思います。皆さんもじゃんじゃんお試しあれ。

diary.79 新たなる光

先頃、友人に教えられてライトボックスなるものを購入しました。つまりは簡易のスタジオみたいなもので、組み立てると四角い箱になります。天井にはLEDの照明、内側はアルミ張りで光を反射し、折り畳み式ですので使い終わったらすぐに仕舞える優れもの。それに、背景に使うバック紙として、黒・白・オレンジの三色の不織布が備えられているのもポイントが高いです。

これまでキットを撮影する時は仕事場に備え付けられたベージュ色のロールカーテンを背景として使っていました。でも、十四~五年も経つとそりゃ汚れも目立つようになります。それに、元々ベージュは背景としては馴染みがよくありません。キットの輪郭はぼやけるし、何より全体のトーンが黄色くなるのが辛い。

ものは試しと早速キットを引っ張り出してスマホで撮ってみました。使ったのは情報量の多い30cmサイズではなく、平均が17cmというボークスJr.のキットです。当然ながら見栄えという点では大きなキットに劣ります。ですが、いかがでしょうか。撮影したこの画像、特に加工とかしてないんですよ。なんだか存在感が倍増したというか、魅力が高まったというか、自分でもちょっと驚きました。

ただね、こうなると反面、粗も目立ちます。中には作って三十年近くになるものもありますし、画像に寄っていくと目玉の形が歪んでいたり、歯の塗りが雑だったり、色剥げしていたりといろんな気になる部分が見えてきます。だからこれも買いました。拡大鏡。サンバイザーみたいに頭に被って使うんですが、ライトを当てて手元を拡大すると……これまで見えていなかった世界がくっきりはっきりと見えてきました。これでもう老眼とはおさらばですが、同時に(見えないから)という言い訳も通用しなくなりました。早速、勢いに任せて目の前にあったキットの表情に筆を入れました。どんどんよくなるから時間を忘れて熱中しました。

あぁ、僕は一体いつまでこれをやるんだろうと思いつつ、同時に武者震いが抑えられないのであります……苦笑

diary.78 赤マイマイ

『帰ってきたウルトラマン』の第32話、「落日の決闘」に登場する変幻怪獣キングマイマイ、その幼虫を作っています。

どう塗り進めようかと本編の映像や資料画像を眺めていたら、暗い体表の凹の部分に赤茶色が見えます。(よし、これを軸にやっていこう)と決めました。でもね、このやり方はなかなか手間がかかります。以前、アクロさんのゴモラでやった時も大層な時間がかかりました。色を沈めつつ残すわけですからね。

どこまでイメージに近づけるかは分かりませんが、原型を造られた森下要氏を喜ばせられるようなものにはしたいです。

乞うご期待。

diary.77 ウラン怪獣、三十一年ぶりに現る

『ウルトラマン』第9話、「電光石火作戦」に登場するウラン怪獣ガボラ、こんな感じでフィニッシュしました。

以前にも書きましたが、このキットはファルシオン製、稲田喜秀氏が原型を務めています。更に言えば、これは数量限定のレジン版です。幸運なことに手にいれる機会に恵まれました。

驚くべきはこのガボラ、発売が平成6年(1994)、今から31年も前だということです。にもかかわらず、今以て傑作の誉れが高い。素晴らしいですね。表現者としてとても憧れます。

詳しい内容はキットのページに書きました。合わせて読んでみてください。

diary.76 発見と想像

3月25日売りの『月刊ホビージャパン』5月号には「発見と想像」と題し、怪獣ガレージキットにまつわる話を展開しています。

見開きには沢山の格闘の後がコラージュされているので、ぜひ手に取っていただきたいと思います。(あー、これ作ったなぁ)とか(へぇ、こんな風にアプローチしてるのか)なんていろんな思いが沸き上がることでしょう。

今、発見と想像の真っ只中にあるのはウラン怪獣ガボラファルシオンから発売された稲田喜秀氏の傑作造型です。

いわゆる立ちガボラですね。幸いにも僕は希少なレジン版を手にすることが出来ました。なのでこれ、抱えるとずっしり重たいです。砲丸みたいなガボラを抱えながら、夜な夜な筆を走らせて愉しんでいます。