
世の中には操演怪獣に愛を感じる人が一定数いる。ふわふわ、ゆらゆら、よろよろとして、骨のある生き物を感じさせないところに、逆に広い宇宙に棲む摩訶不思議な生命体を感じるのだそうだ。おそらく原型師界隈でその代表格は高垣さんであろう。以前、喫茶店でお茶を飲みながら操演について話をした。一過言のある言葉はとても素晴らしい想い出となっている。そして、それ以降は操演怪獣の見方が随分と変化したものだ。

さて、グモンガはベル星人の造り出した疑似空間の島に棲息している。島に迷い込んで体力を落とした生き物にゆっくりと近づき、鼻先から青緑色の毒ガスを噴射して狩りをする。ちなみに蜘蛛のように見える形態だが、巣を張り巡らすようなことはしない。名前がよく似ているゾルゲル島のクモンガとはサイズも狩りのやり方も随分と違っている。このグモンガ、もちろん原型を造ったのは高垣さんである。本編では脇役扱いなのだが、このキットはこれでもかというくらいまで造り込まれている。こだわりポイントその一は脚の分割。一本の脚を「先端」「一節」「二節」と三ブロックに分けたのは、作り手が好きな曲げ具合で表現出来るようにとのこと。こだわりポイトその二は腹部に左右六本ずつあるガスの噴出口だ。インストには真鍮線を3〜4mmずつカットして、それを三本ずつ植え込むようにと指示されている。こだわりポイトその三は付属のグモンガの身体を覆う透明パーツ。もとより透明パーツは扱いが難しい。デザインナイフで慎重に削り込まないとぴったりと合わない。少しでも急いでしまうとザクッと切り過ぎたり、変な折れが出来たりして、最悪の場合は使い物にならなくなる。ちなみに僕はこの作業が大の苦手だ。高垣さんの圧倒的なこだわりが、作り手を果てしなく追い込んでいく……。

実はこのグモンガ、制作したのは僕ではない。プロジェクトメンバーのKAZさんである。円谷イマジネーションで展開していたデジタルジオラマ、ご存知の方も多いと思うが、セブン編の為にすべてのキャラクターが必要となり、蜘蛛が苦手なことを理由にグモンガをKAZさんに押し付けたというワケだ。KAZさん、ほんとに御免なさい! でも、そのおかげでこんなにも素晴らしいグモンガが完成した。完成までには相当苦労されたようだが、こだわりにはこだわりを以て返すというお手本のような展開である。
最後に、僕の手元にはもう一体、GGRさんのグモンガがいる。流石にこれも「お願いね」というわけにはいかないから、今度こそは自分で頑張るつもりだ。素晴らしい作例が手元にあるからそれを軸に仕上げてみたい。




全長 |
パーツ数 |
付属品 |
原型師 |
350mm (両足の幅) |
32点 |
顔・胴体の透明パーツ |
高垣 利信 |
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