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痛快娯楽劇場
宇宙竜 ナース
Chapter of ULTRASEVEN 〜NURSE〜
第11話 『魔の山へ飛べ』より 宇宙竜 ナース
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最初に言っておくがこのキットは規格外である。ナースをこんな――1mを越える姿で造型するなんてあり得ない。ガレージキットの世界、自分がプロデュースするようになったから尚更見えるようになってきたことがある。造型し、型を抜いて複製し、パッケージをデザインして販売するのにどれだけの時間と費用がかかるのか。一度でも失敗したら笑えない額の出費と一部屋を潰す勢いの在庫が占領する。これが現実だ。だからこそ思う。このナースはどうかしていると。いくらなんでも攻め過ぎだろう。しかし、橋本智という原型師はそうは思わない。欲しいモノは自分の手で造り出す。この怪獣をこんな風に表現したいという紛ごうこと無き信念で手を動かすのだ。これまでも長大な尻尾に度肝を抜かれたエレキング、噛ませ犬と呼ばれるアロンを超がつく重量級で表現し、「快獣ブースカ」に登場するイモラや「泣いてたまるか」に出てきたナキラを30cmサイズで世に出してきた。他にも数え上げればキリがない。誰がなんといおうと自分はこうしたい。この怪獣はこんな風に表現するのがベストだ。橋本氏はそのことを分かっている。信じている。まさにクリエイターの純粋なる魂だ。ナースを造る上で、橋本氏にはこのサイズが最適解だったのだ。ちなみにこのキットはそれだけじゃない。付属の円盤型ナースもある。パーツ数は25点、これを付属と呼んでもいいのだろうか……。本当に唖然とするようなセットだ。だからこそ僕は橋本氏の『想い』の結晶だと思っている。当然ながら造型も素晴らしい。長い胴体で地を這い、鎌首をもたげ、グッと睨みをきかせている。東洋の竜、それも金色に輝くメカニカルな竜の姿だ。おそらく今後、これほどのスケール感と美しさを備えたナースは現れないだろう。このキットを手にした人は実にシアワセである。



組立ては取り回しのし易さから考えた。すべてをくっ付けてしまうと、彩色する時に大変になることは目に見えている。顔と手足はギリギリまで接着せず、胴だけを一本に繋げることにした。それでもちょっとした自然薯くらいはある。しかも胴体の途中には左右12本のピンを取り付ける箇所があり、あちこちにぶつけないようにしつつ、ピンを折らないようにして取り扱うのはやはり大変だった。彩色はベースにジャーマングレー、その上から発色が綺麗なガイアノーツのスターブライトゴールドを使った。少しオレンジが強めに出るので、部分的にゴールドで抑えつつ、陰影はエナメルのクリアイエロー、クリアオレンジ、ハルレッドなどを調色してタッチとして使った。蛇腹の部分は同じくガイアノーツのシルバーを使い、タッチにはエナメルのダークアイアンを使用している。いつも言う事だが彩色に関して正解はない。それぞれがそれぞれのやり方で『想い』を表現すればそれがベストだと思う。橋本氏の姿勢を見習って迷わず作っていけばいい。



――とここまで勢いよく綴ってきたが、難問が一つある。1mを越えるナースを果たしてどこに飾ろうか。日本の住宅事情からすると、「まぁなんとかなるさ」と笑い飛ばすにはやっぱり大き過ぎるのである……(苦笑)















全高 重量 パーツ数 材質
1070mm 800g 55点

ウレタン樹脂

付属品 原型製作    
円盤ナース 橋本 智