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かなめみお
甲冑星人 ボーグ星人
Chapter of ULTRASEVEN 〜ALIEN BOGE〜
第27話 『サイボーグ作戦』より 甲冑星人 ボーグ星人
かなめみお 怪々大行進 NO:029
 
サイズによって魅力の伝わり方に差が出る場合がある。以前、ボークスJr.シリーズで制作した時には、無数に存在する星人の一つという枠の中だった。だが、30cmサイズでその印象はガラリと変わる。まず、存在感がある。デザインもいいし見た目も美しい。兎に角、優雅なのだ。それはインスタにも如実に現れた。ご存知の人もいるだろう。僕がやっている怪獣だらけのページで、ボーグ星人をアップするとアクセス数がぐんと上がり、コメントも膨らむのだ。しかも、国内だけでなく海外からのアクセスも多い。……知らなかった。こんなにもボーグ星人を好きな人がいるなんて。もしかすると僕がそうだったように、このサイズだからこそのオーラに惹きつけられたのかもしれない。
キットを作ったのは森下要氏だ。要さんは怪獣愛が深い。だから、どれをとっても愛情をもって丁寧に造型されている。このボーグ星人ももちろんそう。全身に走る線モールドの嵐、ご本人曰く「中盤ではもう気が狂いそうだった」そうである。粘土の塊をキャラのカタチにするだけでなく、そこに線の太さや幅が違うモールドを彫り込んでいかなければならない。これはもう想像を絶する苦行だ。絶対に好きでなきゃ出来ない作業だ。だから、気泡があったり、パーティングラインを削る際に線モールドが消えてしまったりしてもなんの事はない。要さんが味わった地獄のような日々の前ではそんなものはお遊びだ。そう自分を戒めて、何度もパテで気泡を埋め、潰してしまった線モールドを彫り込んだ。でも、正直に白状するとこれだけでもなかなか大変だった(苦笑)



最後に塗装の話をしよう。一見すると銀一色ですこぶる簡単そうに見える。でも、そうではない。毎回繰り返して語っているように、シンプルなものほど難しい。これ、ほんと。シルバーはガイアノーツを使った。発色が綺麗だから映えるのだ。全身をエアブラシでシルバー一色にした時、「もうこれでいいんじゃないか」という強烈な誘惑にかられた。それくらい美しいボーグ星人が目の前にいた。タミヤのブラックで軽く墨入れした後、今度は細部を手描きしていく。ミスターカラーの赤褐色(131)やフィールドブルー(XF−50)、更にはタミヤのダークアイアン(XF−84)なども使った。やり過ぎたかなと思う箇所には再びガイアノーツのシルバーをエアブラシで吹いた。その際、クリアブルーを隠し味でほんの少し混ぜた。更にはタミヤのデザートイエロー(XF−59)を要所に乗せては拭き取る。ムック本を眺めていると、薄っすらと土埃がついているからそれを意識した。胸の透明パーツは白寄りのベージュを全体に塗り、タミヤのクリアオレンジ、クリアイエロー、フラットブラウンを混ぜ合わせて琥珀色を作り出し、それを塗っては拭き取った。



繰り返しになるが、僕がこのキットの魅力をどうこう言わずとも皆さんの反応がすべてを物語っている。ボーグ星人、要さんの情熱が生み出した傑作の一つだと思う。











全高 重量 パーツ数 付属品
310mm 700g 15点 (胸の透明パーツ)
原型師      
森下 要