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かなめみお
宇宙鳥人 アイロス星人
Chapter of ULTRASEVEN 〜ALIEN AYROS〜
第13話 『V3から来た男』 宇宙鳥人 アイロス星人
かなめみお 怪々大行進 NO:064
 


好きなものの食べ方は人によって異なる。真っ先に大好物に箸を伸ばす人、少しずつ切って味わいながら食べる人、最後の最後まで取っておく人。ちなみに僕は最後まで箸をつけないタイプだ。最初に一番を食べてしまうと残りは二番以降になる。これは苦痛だ。だから、好きなものは料理の仕上げとして取っておきたい。だが、キットになると話が違ってくる。手を付けていないものが好きかというと、決してそうではない。むしろ逆だ。手を出したくないもの、見たくないもの、避けて通りたいものが最後まで残る。アイロス星人もそんな一体だ。仮組みしてしばらくほったらかし。パテ埋めしてサフを吹くまで有に数年が経った。とはいえ、その間何もしていない訳ではない。時々手に取ったり、じっくりと眺めたりしながら彩色の段取りを妄想する。そして、「やっぱ止めとこう」の繰り返し。なら、今回彩色に至ったのはなぜなのか? 理由は僕にもよく分からない。分からないが、妄想を繰り返し続けた事がプラスになっていることは間違いない。

さて、アイロス星人である。名前は知らなくても、ユニークな姿を記憶している人は多いだろう。別名は宇宙鳥人。どうみたって飛べるようには思えない。劇中でもフワリと凧のように浮き上がって、岩の上にちょこんと乗ったりする程度だった。おそらくはエミューやダチョウのように羽が退化した種族なのだろう。顔はカミキリムシに見える。鋭く突き出した二本の歯、模様もどことなく斑であり、ゴマダラカミキリあたりがヒントなのかもしれない。それにしても昆虫の天敵である鳥を同じデザインに同居させる成田さんのアイディアはやはり面白い。キットは森下要氏が造型した。逆三角形をした全身のバランス、着ぐるみのふくらみやたるみ、皺までがパーフェクトに表現されている。何よりありがたいのは羽やお腹にある模様をガイドとして造られていることだ。彩色する際には出っ張り部分に色を乗せていけばいい。要さんのユーザーを思いやる優しさが感じられる。





とはいえ、繰り返しになるがアイロス星人は手強い。完成に至る道は長く、険しい。頭の頭巾はガイアノーツの艶消し黒、身体はアクリルのエクストラダークシーグレー(333)、グレーFS(317)(325)を混ぜ合わせて使った。その上からミディアムブルー(72)を溝に沿って筆塗りした。更にはエナメルのデザートイエローなどを使ってタッチを出していく。羽やお腹の模様を描く前にある程度の凹凸感や汚しをしておこうと考えた。それが済んだらブルーFS(326)とキャラクターブルー(110)を混ぜて羽の模様を描き込む。ここひたすら忍耐だ。多少食み出しても気にせず、根気よく筆を動かす。羽の模様が出来たら今度はお腹に移る。黄橙色(58)とレッドFS(327)を混ぜ、濃いオレンジを作って筆塗りする。その上から薄めたイエローFS(313)をエアブラシで吹く。これでなんとなく全体は成り立つのだが、このままでは色のメリハリがハッキリし過ぎて実在感がない。よってフラットイエローやブラウンを使ってポイントごとにくすませていく。この辺りはセンスであり好み、自分の好きなようにやれば良いと思う。





とまぁ彩色のレシピの一部を書き出してみた。これだけでも手間がかかっているのがお分かりいただけるだろう。好物の料理ならいざ知らず、アイロス星人をなるべく後回しにした理由が分かってもらえたと思う。












全長 重量 パーツ数 付属品
310mm 1800g 9点 なし
原型師      
森下 要