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生物X ワイアール星人
Chapter of ULTRASEVEN 〜ALIEN WAIELL〜
第2話 『緑の恐怖』より 生物X ワイアール星人
おまんたわーるど 悦楽シリーズ第10弾
箱を開けた瞬間、気持ちが萎えた……。これまで無数のキットを作ってきたが、すぐに取り出さなかったキットはこれが初めてである。63パーツからなる脅威のワイアール星人。こんな狂った造型を生み出せるのは、やはり橋本氏だ。それにしてもこのキット、どんな風に解析して作り上げたのだろう。写真資料と映像を穴が開くほど見返す以外に方法がないと思うのだが、当然、見えない部分もある筈だ。無数の突起が折り重なるようにして形を成すワイアール星人の全体象を頭に入れ、細部をチェックし、見えない部分は脳内でイメージを繋いでいったということなのだろうか。今、あらためて完成品を目の前にしても、素直に驚きを禁じ得ない。それほどまでに圧倒的な迫力を放つ造形物である。
ワイアール星人の製作もまた、魔術師kaz氏の手によるものだ。この複雑怪奇な形状を完璧に組み上げ、一つの立体物とすることに成功している。塗装はどんな風に施していったんだろう。組み上げて接着してしまうと、筆が届かない場所が出てくる。こちらもまた頭の中で計算しながら、パテを埋め込み、塗装をするという難解な作業が繰り返されていると思う。いつものようにベースはブラックで立ち上げ、そこからグリーモンスと同様に、明度の違うグリーンで全体を整えられている。要所にはブラウンやイエローが入れられ、再びグリーンが被せられ、一切の艶を無くすことに成功している。これだけをとっても驚くべきテクニックである。とはいえ、さすがのkaz氏もワイアール星人の胴体に取り付けられた鏡の表現には苦労したようだ。そう、ワイアール星人は身体の全面に鏡が仕込まれている。元々、デザイン上では穴が開いて向こうが見通せるようになっていたそうだが、高山良作氏は鏡を使うことで同じような効果を狙ったそうだ。kaz氏は考えた末、ハセガワから発売されている鏡面シールを窪みに貼り付け、同様の効果を引き出してしまった。光が当たるとキラッキラッと輝くワイアール星人は、まさに劇中のものと寸分違わない。原型師と塗装師の見事なコラボレーションを得て、このキットは完成を見た。それを眺める自分はまさに至福である。
全高
重量
パーツ数
付属品
350mm
1400g(台座込み)
63点
なし
材質
原型師
ウレタン樹脂
橋本 智