侵略はいつ、どんな所で進行しているかわからない。ビル街、工事現場、行き交う人、ありふれた光景のその下で、侵略者は着々と居住区を造りつつあった―――。
ビルが忽然と消えて行く。ウルトラセブンが操られ、ウルトラ警備隊にアイスラッガーを投げ付ける。そして泡がまとまりハリヌズミのような怪物が姿を現す。決して派手さはないが、セブン世界を彩るのになくてはならない一遍である。
アルマジロのような体型、小さな手、全身には大小の円錐形の棘がびっしりと生えている。さぞかし原型師泣かせのキットなのだと思う。未だに30cmサイズはおろか、Jr.ワールド以外では「怪獣無法地帯」のモンスターギャラリーでしかお目に掛かった事がない。そんなダンカンを引っ提げて、村田幸徳氏はJr.デビューを果たした。この後末永く怪獣原型の世界で名を馳せていく村田氏、ダンカンは記念すべき怪獣なのである。さてこのダンカン、痛かった………。パーティングラインを削る時、パテ埋めの時、塗装する時、ずっと握っていると棘が当って指の腹が痛むのだ。僕ですらそうなのだから、原型製作の際にはさぞかし大変だったであろうと想像される。しかし痛みを我慢すれば塗装はさほど苦労する事もないと踏んでいた。マスキングも筆塗りも必要としない、ご覧のとおり、ほとんどが青の単色で済むからだ。だがそれが甘かった………。僕が手にしたダンカンは全身気泡だらけ、棘はあちこち欠けて壊れ、そこら中が軽石のように穴開きの状態だった………。ガレージキットを作られた方はご存知と思うが、型抜きの際に発生するこの気泡、レジンの隙間に空気が混ざり込んで出来る実に厄介なものなのである。今のキットは抜き屋さんの技術も相当に上がっているのでそれほど気にならないと思うが、昔のキットはそれはもう惨いものがあった………。「これは製品として成立しているのか?」と疑ってしまうほど、ボロボロのものも存在した。そこまでとは言わないが、ダンカンも相当に惨い状態だったのは間違いない。全体をパテで根気よく埋め、整形し、細かい気泡は溶きパテで何度も塗った。その為、村田氏入魂のモールドがちょっと甘くなってしまったのはなんとも残念だった………。
全高 |
全長 |
重量 |
原型 |
130mm |
135mm |
260g |
村田 幸徳 |
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