宇宙ステーションV3から来た男、彼はキリヤマ隊長の士官学校以来の親友だった。地球に侵入を試みようとするアイロス星人の宇宙船を追い、激しい戦闘の途中で命を落としたかに見えたが、どっこい彼は生きていた。クラタ隊長………、キリヤマ隊長とは正反対の一本気でアグレッシブな動の男である。
アイロス星人もまた実にユニークなデザインだ。昆虫の顔、大きな肉厚の翼、そして膝を折った状態での立ち姿………、ギラドラスやヤドカリンなど数少ないシルエットを備えたウルトラ怪獣である。キットの原型は川岸氏、大きく羽を広げて前方を睨むアイロス星人の勇姿を、またしても徹底して細部にまでこだわった素晴らしい表現で作り上げている。だが、自分が手にしたアイロス星人は一度誰かが製作を試みた中古キットだった。キットの成型に不慣れだったのか、それとも何かの改造を試みた結果なのか、至る所に穴や窪みが出来ていてかなり無残な状態だった。まずはそれらの損壊場所をパテで修復する事から始めた。これもまたガレージキットならではである。頭巾を被ったようなアイロス星人の頭には丸い模様があるのだが、これも相当数が潰れていた。模様をナイフやヤスリで削り取り、パイプと真鍮線を埋め込んでリアリティを出してみた。だが最大の難関は塗装である。ベースにダークグレーを吹き付け、グレー系やホワイト系を使ってドライブラシを施した。全身に広がる羽をイメージさせるブルーラインはインディゴブルーを使って筆塗りしてみた。あきらかに描いたようにならないよう、筆圧に注意しながら時間を掛けて塗っていった。最後にブルーが回りに馴染むよう軽くグレーやホワイトを吹いて整えてみた。高さ10cm強の小振りなキットだが、仕上がり具合には満足している。
全高 |
全長 |
重量 |
原型 |
110mm |
150mm |
165g |
川岸 敬厳 |
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