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第11話 『魔の山へ飛べ』より 宇宙竜 ナース
VOLKS JUNIOR ULTRA WORLD NO:047
 

「ナース!ナ―――スっ!!!」全身を灰色の毛で覆われたワイルド星人が絶叫する。
すると、岩山が突如爆発し、中から巨大な看護婦さんが、…………いや、黄金色をした宇宙竜、ナースが姿を現した――――。唐突だがこのナース、ロボットである。竜型にもなれば円盤型にも変形し、ワイルド星人の宇宙船としても使用されるという優れもの。 きっと、ナースの身体の中にはベッドルームやらシャワー室やらキッチンがあるのだろう。そう考えるとこのナース、とても妙な怪獣である。

操演怪獣の代表的な一体であるナース。だが、その出来はと言うと、贔屓目に見てもお粗末だったと思う。身体を吊ったピアノ線は思いっきり見えてるし、龍を思わせるような優雅なクネりには程遠い動き、まるでピョンピョンとカエルが跳ねるような演技であった。そんなナースは到底強そうには感じられず、案の定、ウルトラセブンに巻き付いた所を、逆にバラバラに切断されてしまう。哀れさすらあれ、自分にとってはほとんど印象の薄いナース、だがこのキットを見た瞬間そんな心境は変形、いや、一変した。あまりのカッコ良さに一瞬声を失った。頭をもたげて睨みをきかせながら、ゆっくりと変形するナース。一瞬の姿を写し取られた姿は、圧倒的なまでの美しさが感じられる。原型師である川岸氏の着眼点と、それを具現化する技が見事にマッチした一体ではないだろうか。それだけでも見惚れてしまうくらい素晴らしい出来、だが驚くべき事にこのナースには、もう一つ、見事な隠し技が加えられている。劇中に登場するナースは都合3体が作られている。一つ目は円盤型、二つ目は操演用の小さな竜型、三つ目はセブンと格闘した大きな竜型である。この3体、同じ怪獣とは言えないくらい顔の形も、身体のモールド(模様)も異なっているのである。そんなナースを川岸氏は見事ブレンドという手法で表現した。ベースは完全に円盤型、流れるようなラインの途中から、モールドも含めて竜型へと変化していく。あまりにも自然に見える為、指摘されないとそうとは気付かない。川岸氏のおかげでナースの良さを再発見できたのだった。




全高 重量 材質 原型
140mm 100g ウレタン樹脂 川岸 敬厳