ウルトニューム―――。山中の広場で若い女性が拾った紫色の鉱物を手にした瞬間、岩村博士は言葉を失った。地質学の世界的権威である岩村博士を絶句させるその鉱物は、なんと地球の核(コア)を形成する物質だったのだ。博士の助手、榊に成り済ましたシャプレー星人が正体を見破られ、アンヌとソガにウルトラガンで撃たれる。断末魔、シャプレー星人は「ギラドラース!!!」と叫んで炎上した―――。
セブンは宇宙からの侵略をテーマとした作品である。よって登場するのは宇宙人がほとんどであり、怪獣は数えるほどしかいない。そんな僅かな体数であっても、セブンに登場した怪獣達の個性は強い。エレキングしかり、ガンダーしかり、ミクラスしかり。ギラドラスも彼等に負けず劣らずの強烈な個性を有している。第一にギラドラスの形態。二人の人間が入って動かす怪獣にはドドンゴやペスターなどの先達がいるが、ギラドラスも二人が前後に入って動かす大型の怪獣である。またギラドラスには手が存在せず、長い首の下にある両足を正座したように折り曲げて、ズルズルと這い進んでくる。こんな形態の怪獣はそれまで存在していなかったと思う。それから顔の上下と背中の突起。その突起が時折赤く発光する様は、ギラドラスの感情と呼応しているようでとても惹き付けられる要素であった。特徴も面白い。ギラドラスは天候を自在に操れる能力を持っている。青空をたちまち黒雲で覆い、激しい嵐を巻き起こし、大雪を降らせてセブンを苦しめる。仕掛けをするスタッフはさぞかしご苦労だったと思うが、見ているこちら側としてはとても印象に残るシーンであった。最後はギラドラスの顔。下顎がグニャリと曲がっている。高山氏のアトリエで製作される時のギラドラスを見ると、曲がりはまったく確認できない。殺陣(たて)の最中になんらかのトラブルを起こして、下顎を支える芯が変形したのだろう。劇中の再現、その事を一つの命題にJr.ワールドのキットを組立て塗装してきた。その原則に従うならば、ギラドラスの下顎は曲がっていなければならない。でもなぁ、やっぱりそれはカッコ悪い。ギラドラスが可哀相である。
全高 |
重量 |
材質 |
原型 |
275mm |
486g |
ウレタン樹脂 |
大石 武司 |
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