ウルトラのコアなファンならいざ知らず、この甲狼なる怪獣を初めてご覧になった方も多いのではと思う。それもその筈、甲狼は画面には登場していない。これはウルトラセブン第20話に登場するギラドラスのNGデザインなのである。成田氏のデザイン画集を見ると、ギラドラスデザイン初案として甲狼が描かれている。レッドキングを四足にしたような蛇腹の体型と先端の小さな頭部、紛れもなく成田デザインの構造である。だが、残念な事に具現化はしなかった。縫いぐるみの操演上の問題より断念されたそうである。このシャープな身体でセブンとどんな闘いを繰り広げたのか、誕生していれば間違いなく人気怪獣になっていただろう甲狼、咆哮を上げて暴れまわる姿を見てみたかった………。
そんなある日、このキットを見つけた。驚いたのは言うまでもない。そして、ガレージキット界はこんな離れ業までやってくれるのかと、一層のめり込むきっかけになった。
原型を担当したのは川岸氏、ボークスで怪獣達の迫真を立体化してきた素晴らしい原型師である。その川岸が紙の上のデザイン画に命を吹き込み、見事、甲狼を我々の前に蘇らせてくれた。それがコレである――――。
配色は箱に入っていた成田氏の画を見て行った。全体をダークブラウンで押さえ、ドライブラシで少しずつ明度を上げていった。目と喉の鮮やかな黄色と、造型の高山さんが好んで使ったと言われるピンクの唇も出来る限り気を使ってみた。このキット、いつになく塗装にも力が入った。多少力み過ぎの感も否めないが………。
NGデザインのキット化、色々な権利関係の問題などあるのかもしれないが、是非とも続けていって欲しいと思う。怪魚や「キリがない」の登場予定怪獣、はたまたアントラーやグビラのデザインの変遷など面白いものは沢山ある。
全高 |
重量 |
材質 |
原型 |
330mm |
308g |
ウレタン樹脂 |
川岸 敬厳 |
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