「ミクラス、頼むぞ」。ダンが湖に向ってカプセルを投げる。まばゆい燐光が次第に膨らんでカプセル怪獣ミクラスがその姿を現した。一声威嚇するように咆えるミクラス、態勢を低くしてエレキングに突っ込んで行く。エレキングの鞭のような長大な尻尾に何度も身体を弾かれるが、ついには尻尾を捉えて力の限りに振り回す。ミクラスの怪力によってエレキングの身体が宙を舞い、激しく地面に叩きつけられるのだった…………。
変身不能―――。ダンがウルトラセブンに変身できない時、腰に取り付けられたカプセルが開く。そこには5つのカプセルがセットされていて、ダンは相手の能力などを考慮しつつカプセルを投げるのである。初めてこのシーンを見た時、僕は狂気した。『怪獣を携帯する』という事。そして、自分にピンチが訪れた時、『その怪獣を相手と闘わせる』という事。これは夢が現実となって現れた瞬間だった。僕だけじゃない、多くの人が同じような思いを持ったのではないだろうか。だから僕はポケモンが受けるという現実を当然のように受け止められる。自分だけの怪獣(モンスター)を持ちたいという思いは、世代を超えても共通なのである。さて、ミクラスの話に移ろう。ミクラスはセブン全49話中、二度姿を現した。一度目はエレキング戦、二度目はガンダー戦だ。どちらも宇宙怪獣で強敵だったが、ミクラスは一直線に相手に向って突っ込んで行った。その竹を割ったような潔さがなんとも堪らない。そんなブルファイターであるミクラスの姿勢を、原型師の川岸氏は存分に表現している。どことなくユーモラスな表情の中に、極めて一直線な闘志が漲っている様である。ここで一つ、笑い話を紹介したい。このキットを買った時、僕は思わず「不良品だ!」と叫んでしまった。理由はミクラスのお尻である。顕かにチョキンとハサミで切ったようなお尻を見た時、尻尾がないっ!と焦ってしまったのだ。だが、図鑑をよく見るとミクラスに尻尾はない。30年近くウルトラと共に過ごしてきて、ミクラスのお尻がこんな形だった事を初めて知ったのであった…………。
全高 |
重量 |
材質 |
原型 |
170mm |
268g |
ウレタン樹脂 |
川岸 敬厳 |
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