煙草の中に幻覚作用を引き起こす赤い結晶体を忍ばせ、人間同士を争わせて信頼関係を破壊し、自滅させる。知的で狡猾なメトロン星人は、地球侵略に際して一切自らの手を汚そうとはしない…………。
下町が美しい夕陽に染まる頃、川を挟むようにウルトラセブンと対峙したメトロン星人。あのシーンはオレンジ色の闘いとして、脳裏にしっかりと刻み込まれた一つである。
魚のようなバナナのような刀のような、ツルリとして細長い顔…………。何を考えているのかわからない、そんな怪しさが漂うメトロン星人。劇中では諸星弾と木造アパートの和室で会談し、良く通る男性の声で綺麗な日本語を話していた。その際、顔の両端にある黄色い段々模様が、ピカピカとネオンサインのように光っていたのをよく覚えている。
メトロン星人の製作は、組立てはすこぶる簡単だったのだが、反対に塗装は呆れるほど大変だった。赤に青に黄色に白…………。どれ一つ取っても思いっきり主張する色なので、何度もマスキング(テープを貼って色ムラを防ぐ事)を繰り返して、色が混ざり合う事を避けなければならなかった。顔のほとんどを占める赤色。色むらなのか、よく見ると顔の中央が他の部分と比べて若干暗い。これをリアルに出す為に、何度もなんどもエアブラシで色を吹き重ねていった。身体のベースである青色は、青がきつ過ぎると安っぽくおもちゃのようにみえてしまう。かといって薄くし過ぎると、メトロン星人のイメージから離れていく。微妙な色のコントラストを出すのにとても苦労した。正面顔の印象である赤とは違い、メトロン星人の後頭部は一面黄色の地肌に白いボルトのような模様が並列に並んでいる。どこからこんな発想が来るのか実に不思議であるが、この塗装も気を抜けない地味な作業の連続となる。見た目は派手で面白いメトロン星人であるが、塗装するとなると…………。もう一度作る時はかなりのハイテンションが必要になると思う。
全高 |
重量 |
材質 |
原型 |
165mm |
70g |
ウレタン樹脂 |
小川 光一 |
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