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コイン怪獣 カネゴン
Chapter of ULTRAQ 〜KANEGON〜
第15話 『カネゴンの繭』より コイン怪獣 カネゴン
VOLKS OH
 
コイン怪獣カネゴン。今も尚広がり続けるウルトラシリーズに於いて、不動の人気と知名度を誇る存在といっても過言ではないだろう。 そんなカネゴンがついにというか、ようやくOHシリーズの仲間入りを果たした。しかもだ、Jr.シリーズのカタチをそのままにスキャンして拡大し、そこから細部(皺からダボに至るまで)にびっしり手を加えて生まれ変わった。リニューアル? リファイン? これをいったいどう呼べばいいのだろう。いや、この際呼び方なんてどうでもいい。これは怪獣ガレージキットの歴史上大きな転換点となる事件だ。これから世界が幾らでも広がるぞという高らかな狼煙である。

原型は当然ながら圓句昭浩氏の手によるもの。Jr.はもちろん、OHの修正もそうである。圓句氏曰く「ほとんど造り直したみたいなもんですけどね」と笑った。その笑みは間違いなく自信の表れだ。そのことは実際にキットと向き合ってみるとよく分かる。当時にはなかったモールドが追加され、中でもカネゴンの口の中に人の顔が薄っすらとあるのは驚いた。ほんの一瞬だけ見えるそうなのだ。口の中なんて完成したら見えなくなるのに、原型師の性で見えたものは造りたくなるのだろう(笑) 逆にポージングは見たことのないもので造られている。片足を上げて空き缶を蹴っているシーンは劇中には存在しない。なのに違和感がないのは、カネゴンならこんな仕草をやっていそうだというイメージからだ。圓句さんはこの原型表現によって、カネゴンに関する記憶の領域を広げてしまった。この一事だけをとっても只者でないことが分かるだろう。更にもう一つ、パーツは本当に組みやすい。かっちりと合うからストレスを感じない。それにパーティングラインがほとんど見当たらない。昔のキットは地震で地層がズレたとしか思えないようなものも多々あった。抜きの美しさに技術の進歩と特製の真心を感じる。



さて、カネゴンの彩色だが、幸いにしてカラー資料は豊富だ。全体は焦げ茶色から赤銅色、重なり遭った縁の部分は黄土色という具合になっており、点いたり消えたり、感情を表す足の甲のぼんぼりはホワイトパールを、コインを掴む演出の為に剥き出しの指はそのまま肌色で仕上げている。実は指も綺麗には塗っておらず、爪の隙間は少し汚れ た風に演出している。昔の子供って自分も含めてだいたいそうだった(笑) 今回の製品はオマケも楽しい。10円型の台座はJr.シリーズにもあったもの。カネゴンの体色と合わせ、使い古した感じで仕上げた。サブタイトルのプレートはケムール人の時にはカラー版で塗ったので、今回はモノクロ版として塗ってみた。一番拘ったのは空き缶だ。「ウルトラQ」放送当時にあった缶詰を調べ、色合いがカラフルで自分の記憶にもあるものとして、明治のパインアップルを選んだ。メンバーの土井氏に依頼し、ラベルを縮小してシールに印刷、それを貼って、赤茶色で錆びた感じになるようタッチを入れてみた。



昨今、怪獣ガレージキットのステージは世界へと広がっている。中国で、韓国で、台湾で、北米で、ゴジラやガメラ、ウルトラシリーズを観た人達が怪獣ガレージキットを求めている。それはまるで当時の僕をみているようだ。目をキラキラさせて買い求め、作り、飾って楽しんでいる。ボークスには怪獣ガレージキット文化の担い手として、これからも長くシリーズを継続・発展させて欲しい。











全高 パーツ数 付属品 材質
290mm 15点 空缶
10円玉のベース
サブタイトルプレート
ウレタン樹脂
原型師      
圓句 昭浩