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おまんたワールド
液体怪獣
Chapter of ULTRAQ
未制作話 『キリがない』より 液体怪獣
 


実相寺監督が万福寺百合のペンネームで「ウルトラQ」に寄せた唯一の脚本、それが「キリがない」です。監督に予定されていたのは中川晴之介氏。「育てよカメ」「カネゴンの繭」「鳥を見た」など、「ウルトラQ」の持つファンタジーの側面を形作った立役者ですね。なるほど、この「キリがない」も中川節が存分に炸裂するような物語が展開します。潜水夫の父親と空に憧れる息子という対立構図と、貯水池の底に潜んでひたすら水を吸って巨大化するマシュマロのような生物の存在。その二つが「父親の職業」と「水」という関係性で結ばれていきます。もし、この作品が制作されていたとしたら、新たなファンタジーの秀作が生まれていたでしょう。残念ですね……。



さて、登場する怪獣です。怪獣の名前はありません。残されているのは「液体怪獣」という製作メモの表記と、「白い巨大な獣、大きなマシュマロのといったもの」という脚本のフレーズ。そして、成田氏が描いたまるで空に浮かぶ雲のような形をしたデザイン画です。真っ先に思い起こすのはクラゲでしょう。クラゲは丸みがあり、身体の9割は水分で出来ています。まさに吸水怪獣にぴったりのイメージです。しかし、デザイン画をよく見ると、もう少し形がしっかりしているのに気づきます。となると、次に浮かぶのはウミウシではないでしょうか。世界に存在するウミウシは5千種以上、角があったり海藻のようなものだったり、派手なカラーリングをしたものから地味なものまで多種多様です。しかも、水から上げると自重で潰れてしまうんですよ。ウミウシは生まれながらにして水の中でしか生きられない生物なんです。どうです、これまた「吸水怪獣」にピッタリだと思いませんか。



そんな不思議な怪獣を高垣氏が立体化しました。以前、「成田さんのデザイン画を立体化したら面白いでしょうね」って話した事があるんですが、それを実現させてしまったのです(しかも1パーツ!)。さすが、無いモノ、欲しいモノは作ってしまえのガレキ精神です。塗装は上から光が当たっているイメージで進めました。単調にならないよう様々な青色と、そこに茶色や紫色を添えています。仕上げはホワイトパールです。おそらく高山さんならそうするであろうと想像して、全体にエアブラシで吹きつけました。名前はなくとも、なんともいえないユニークな存在になったのではないでしょうか。





全長 重量 全パーツ数 付属品
180mm 186g 1点 なし
原型師      
高垣 利信