ウルトラQの怪獣を塗装するにおいて最も大変なのは色だ。元がモノクロなだけにカラー写真が余り無い。先頃、カラーライズ版が出て大きな話題を呼んだが、怪獣の体色がくっきりと判別出来るかというと……それは期待出来ない。細かい部分はやはり写真でないと中々分からない。幸いゴーガはカラー写真が残されている。主役のお三方が番宣の為にペギラ、パゴス、ガラモン、カネゴンと記念撮影をした時、足元にちょこんといる。なぜここにゴーガがいたのか詳しい経緯は分からないが、おかげで貴重なショットが残される事になった。少年マガジンのカラーグラビアに載ったゴーガ、身体の体色はベージュとブラウン、黒に近い部分と赤味掛かった部分が混ざり合っている。貝殻は基本色がベージュ、先端の突起部分は濃いブラウンだ。グラビアの、しかも大昔の印刷物なので(僕が持っているものはその写真が載ったムック本)正確な体色とは言えない。しかし、色の雰囲気や塗り具合は分かる。それを手立てに今回は一つ、やった事の無い塗装方法を試す事にした。以前、造形家の原口さんに教わったやり方、「足すんじゃなくて引くんです」というあの方法だ。まず全体をアクリルのベージュで塗装、調色したブラウンを皺や凹凸部分に筆塗りする。下地が出来たら今度はエナメルの出番、調色したブラウンを全体に吹き付ける。くすんだセピア色のゴーガになったところで暫く時間を置き、やおらエナメルの溶剤に筆を付けてゴーガ本体をなぞる。なぞった部分は塗料が浮き出すので、それをティッシュで拭き取ると、下地で塗ったアクリルのベージュが顔を覗かせる。この繰り返し。足すんじゃなくて引く。そう、塗り重ねるんじゃなくて、逆に重ねた色を抜き取るのだ。全体を濃いブラウンやホワイトパール入りのベージュでタッチをつけ、部分的にドライブラシを施す。最後に艶消しを貝に、艶有りを首から頭に掛けて塗ってお終い。以前作ったゴーガとはまた一味違った、味わいのある仕上がりになったと思う。
全長 |
重量 |
材質 |
原型 |
180mm |
240g |
ウレタン樹脂 |
川岸 敬厳 |
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