セミ人間を作ったのはとある真夏の暑い日であった。娘と一緒に山や林に出かけ、昆虫採集に励んでいたその年、木や葉の裏にくっ付いたセミの抜け殻を沢山取った。よってセミ人間の塗装は、抜け殻のイメージが色濃く反映される事となった。褐色の中にオレンジありベージュあり、自然の織り成す色彩は本当に素晴らしい。少しでも近づくようにと頑張ってみたのだが、うーん、まだまだだ………。自然の色は本当に奥深い………。
セミ人間の原型は畑中氏が担当した。ゴローやピーターと同じく若干小さめなのが残念なのだが、三面写真の残っている頭部と違ってほとんど全身像のないセミ人間を、少ない資料を元に丁寧に再現しているのは実に素晴らしい。劇中ではビニール製の透明な背広を羽織っていたのだが、僕自身、流石にそこまで用意する根性はなかった………。(高垣さんが作った30cmサイズでも果たせるかどうか自信がない………)
さて、そんなセミ人間はこの後マスクが改造され、誰もが知っている宇宙忍者、あのバルタン星人へと改造されて行く。セミ人間の顔をしげしげと眺めていると、すでにそこにはバルタン星人の面立ちが出来上がっているのが分かる。ガラモンを操り地球侵略を企んだセミ人間、それに失敗した時、仲間の宇宙船から怪光線が浴びせられ炎上して死ぬ。失敗した同胞をいとも簡単に処刑する残酷な種族、「キー」とも「キュー」ともつかぬ断末魔の叫び声がひどく耳に残る。そんな酷薄な宇宙人がやがて生命という概念を持たない存在へと生まれ変わるのは、なんとも恐ろしい道標な気がする………。
全高 |
全長 |
重量 |
原型 |
140mm |
50mm |
30g |
畑中 正義 |
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