「午前3時、また聞いた………。ペギラ………」
行方不明となった南極観測隊の野村隊員、彼の手帳にはそんな言葉が記されていた。ペギラという言葉が一体何を指しているのかといぶかしむ万城目。その答えは唐突に分かった。氷原の向こうから咆哮を上げ、巨大な生物が立ち上がる。ペギラがやって来たのだ―――!
ウルトラQ全28話中、2度に渡って主役を張ったのがこのペギラだ。初登場は第5話、タイトルもズバリ、「ペギラが来た!」。名前を冠に付けるのが許されるのはスターのみ、そう、ペギラはその後連綿と続くウルトラ怪獣の、一番最初の大スターなのである。
ペギラタイプTの原型は川岸氏が行った。若干翼をすぼめた感じのポージングは、咆哮を上げながら南極の昭和基地に迫り来るペギラそのものである。羽の皺や足首の皮膚のたるみ、全身のザラザラした皮膚感など、作っていてあまりの出来に身震いするようだった。そんなペギラの特徴は眼、あの眠そうな半眼が脳裏に焼き付いている方は多いと思う。タイプTはまさにその特徴が完璧に表現されている。どうですこの顔、まさに記憶の中のペギラそのものでしょう。
モノクロの「ウルトラQ」には珍しく、ペギラは比較的多くカラー写真が残っている。表紙やグラビアを飾ったゆえ、これもスターの証である。塗装はベースにダークブラウンを、その上にサンドイエローやダークシーグレーなどで徐々に明度を上げていった。爪や牙はエナメルのクリアーオレンジやレッドを塗り重ねては拭き取り、琥珀の感じを狙ってみた。髭は真鍮線での自作、これは面倒でもやった方が完成度は格段にアップする。
全高 |
全長 |
重量 |
原型 |
170mm |
145mm |
255g |
川岸 敬厳 |
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