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第8話 『甘い蜜の恐怖』より もぐら怪獣 モングラー
VOLKS JUNIOR ULTRA Q WORLD NO:019
 

最初は線路の側だった―――。突如、小山のように土が盛り上がったかと思うと、移動を始めたのだ。線路を横切るように伸びて行く小山、トンネルを抜けて走ってきた機関車が急ブレーキをかけるが時すでに遅しであった…………。数日後、今度は畑の土が盛り上がる。目の前の光景に慄く農夫、やがて土の中から巨大なモグラ、モングラーが姿を現した。





小学校低学年の頃、登校途中に草むらの中で小さくて黒い塊がモゾモゾと動いているのを見つけた。最初は怪我をしたスズメかと思い、脅かさないようそっと両手で包むようにして掴まえた。だが、その黒い塊は手と手の合わせ目や指の間を、鋭い爪でグイグイとこじ開け様とする。思いのほか強い力に僕はびっくりして、黒い塊を草むらにほおり出した。それが僕とモグラのファーストコンタクトだった。フワフワの黒い毛玉と長い鼻、目はどこにあるのかよくわからない。身体の割には大きな手足、そこには長くて鋭い爪が伸びている。その日の教室、モグラは僕の帽子の中で皆の羨望を浴び、取り出されて隅々を観察され、夕方、硬くなって死んでしまった……。ずっと地上に出て光を浴びていたからか、触られ構われ続けたからか、それとも元々病気か寿命だったのかはわからない。死んだモグラを図書館の裏へと運び、土を掘り返して木の根元に埋めた。モグラの死……。日頃見慣れない小動物の死に、僕を始め仲間達は戸惑った。モングラーを見ると、今でもあの時のモグラをふと思い出す………。原型を作った高垣氏、モングラーを作るならこれと決めたイメージがあった。土中から飛び出し戦車隊から砲撃を受けるモングラー。まるで天をも突かんとするほど巨大なモングラーは、ただ大きくなったモグラなどと軽く片付けられないほどの存在感を示していた。昔の怪獣図鑑には必ずといっていいほど載っていた、あの合成写真のモングラーである。よってベースは盛り上がった土が作られ、そこから姿を現したモングラーが表現されている。Jr.シリーズ中唯一全身が作られなかった怪獣としても、極めて異彩を放つキットである。

全高 重量 材質 原型
95mm 232g ウレタン樹脂 高垣 利信