100年に一度咲くと云われるサザメダケに、この年、白い花が開いた。それは大いなる災いの幕開けだった。異変はすぐに起こった。空に巨大な金色の虹がかかったのである。濃縮ウランを積んだ一台のトラックが山道を走る。そこへ、雪崩を起こすように山肌が崩れ落ち、大地を揺るがすような咆哮が轟く。地底怪獣パゴスがウランを求めて巨大な姿を現した―――。
パゴスはご存知の通り改造怪獣である。大元は1965年公開の東宝映画、『フランケンシュタイン対地底怪獣』に登場したバラゴンだ。改造怪獣と聞けばいかにも安っぽい感じがするが、バラゴンの系譜を辿る改造怪獣は、軒並み魅力的である。デザイナーの成田亨氏、造形の高山良作氏がいかに才能豊かだったのか、これ一つを取って見ても分かる。パゴスはその後綿々と続くウルトラ怪獣において、四足型怪獣すべての原点とも言える存在となった。小山のような巨体、生物感溢れる動き、鼻角や頭の角、上顎から飛び出した大きな牙、愛くるしい真ん丸の目。最新の四足型怪獣も、このどれかをきっと継承している筈である。
さて、これまでJr.シリーズを主に作り続けてきた僕にとって、初の30cmサイズ挑戦となったのが、この大石氏原型のパゴスである。1985年発売というからかれこれ20数年前のキットだ。なぜこのキットを選んだかというと、僕が持っている30cmサイズの中でもっとも手が掛かりそうな感じがしたからである。抜けなかったのか、上下の歯は全部なし、長年の間に歪んだのか、胴体も尻尾もまったく噛み合わない。おまけに至る所に気泡で出来た穴、穴、穴………、モールドは潰れて見る影もない。これらを一つひとつ修復し、塗装に入れるという段階まで漕ぎつけるにはかなりの時間を要した。「マーメイドのパゴスを制する者は怪獣GKを制す」―――かどうかは知らないが、後に控える30cmサイズに立ち向かう自信はついた。
全高 |
重量 |
材質 |
原型 |
450mm |
1400g |
ウレタン樹脂 |
大石 透 |
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