リトラリア――――。鳥類と爬虫類の中間生物。姿は優しく美しいのだが、鋭い嘴からはシトロネラ酸(アシッド)という強力な溶解液を出す。通称はリトラ。東海弾丸道路のトンネル工事現場で偶然に発見された大洞窟。その中から直径2mほどある多面体の球体が発掘された。それはリトラのさなぎであった。冬眠状態から目覚めたリトラは殻を破って美しい姿を地上に現す。その時、リトラの天敵であるゴメスもまた地上に姿を現した―――。
ゴメスがゴジラの改造なら、リトラはラドンの改造である。なんとまぁ贅沢な改造なのであろうか。東宝怪獣映画の二枚看板であるゴジラとラドンをベースにできるなんて、円谷プロ以外のプロダクションでは絶対に考えられない事である。「特撮の神様」円谷英二が視聴者を存分に意識して、懸命に惹き付ける仕掛けを作った証だと言える。それほどまでに円谷は「ウルトラQ」に賭けていたのだろう。やがてその熱意は記録的な高視聴率という形で現れる。ゴジラやラドンの生まれ変わった姿をブラウン管に映し出す。よくぞ東宝も承知したものである。さて、さなぎから生まれたリトラは近くの岩に止まってぼんやりと羽を休めている。周囲の焦燥もリトラにはまったく関係ないようで、時折首を傾げながら、丸い目を閉じたり開けたりするばかりである。そんなリトラの仕草からはラドンの面影が見て取れる。空の大怪獣ラドンもまた、意外に可愛い目をパチパチさせて首を傾げるシーンがあった。このような表情は着ぐるみに直接手を入れて、操演(マペット)という手法が取られている。リトラとゴメスは畑中氏が対で原型を作った。ディスプレイした時のゴメスとの対比を考慮して、リトラは小さめに作られている。リトラはとことん塗装に悩まされた。「ウルトラQ」の性格上、写真はモノクロがほとんどである。中にはカラー写真が残っている怪獣もいるが、リトラは今日までカラーの姿を見た事がない。さんざん悩んだ挙句、集英社の少年ブック・コミックスに描かれた表紙画を参考に塗装した。皆さんのリトラ像と比べていかがであろうか。
全高 |
重量 |
材質 |
原型 |
150mm |
70g |
ウレタン樹脂 |
畑中 正義 |
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