加根田金男――――。金男はその名前を授けられた瞬間から、金の亡者となりカネゴンに変身してしまう運命だったのかもしれない。まさに吝嗇家を地で行く金男は、振るとお金の音がする繭を子分から横取りし自宅へ持って帰る。その夜、繭は金男の自室で巨大に成長し、中には小銭がザクザク溢れ返っていた。狂喜する金男、小銭を取ろうと繭の中に手を入れるが、逆に繭の中へと引きずり込まれてしまう。そして翌朝―――!
「頭は金入れ、身体は火星人、目はお金の方を向いてピョコーンと2本飛び出し、口は 財布のジッパーなら、身体は銅貨の銅みたいに赤光りする怪物で、ゴジラみたいな尻尾
にはギザまでついてるんだぞ!」。とはちょび髭を生やした金男の父親の弁。吝嗇道を突 き進む息子を諌める為に、金の亡者カネゴンの話を持ち出したのだった。しかし金男は
まったく意に介さない。それどころか、こんな世の中、頼りになるのは親よりもお金と 言い切る始末である。カネゴンが初めて世の中に姿を現したのは昭和41年4月10日。
その日からすでに38年という歳月が経っているのだが、世知辛い世の中は昔も今も同 じようである。先日、キャプションを書く為にあらためて「カネゴンの繭」を見た。こ
の回にはレギュラー三人組は登場しない。変わりに登場するのは沢山の子供達である。 彼等の遊び場は土管の転がった造成地で、そこにメンコやプラモデルやびー玉といった
自慢の品々を持ち寄って遊んでいる。皆、嬉々として雑草のように強い生命力を感じさ せる。かつて、僕自身も同じような事をして遊んでいた。山の中にダンボール箱で秘密
基地を築き、そこに各々の宝物を持ち寄った。そこは子供の王国だった。王国の住人は ハチに刺されるとオシッコをかけ、擦り傷や引っかき傷ができるとツバをつけ、少々の
鼻水や咳が出るくらいでは遊ぶのをやめたりしない。まさに伸び伸びと逞しく生きてい た。「カネゴンの繭」、その中にはかつての自分がいた。とても懐かしくて、どこか寂し
くて…………。普段はそんな事など意識せずに生きているのだが、どうやら僕は、何時 の間にか大人になってしまったようだ…………。
全高 |
重量 |
材質 |
原型 |
161mm |
210g |
ウレタン樹脂 |
圓句 昭浩 |
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