第38話 『宇宙船救助命令』より 光熱怪獣 キーラ
怪獣無法地帯 Monster Classics NO:21
 


村田さん原型のキーラを作るのは、ボークスJr.のキーラTYPEUに続いてこれで二度目となる。ボークスのキーラも素晴らしかったが、やはり30cmサイズとなると情報量が違う。全身のプロポーションはもちろんの事、身体中の大小の皺、甲羅の裏の凹凸まで丁寧に作り込まれている。手を加えた部分は目、のみ。細かい穴が塞がっていたので、ピンバイスを使って穴を開けた。どこをどうすればキーラの魅力を存分に引き出せるのか、村田さんがクラシックスを造型する時はよ〜くご存知だったように思える。
さて、塗装だ。キーラの体色は茶色一色である。塗り分けする必要もないので一見簡単そうに思えるが、どっこいこれが中々難しい。一口に茶色といってもいろんな茶色がある。べた〜っと塗ってしまうとおもちゃのようになるし、あまりに手を加え過ぎると、元のイメージから掛け離れたものになってしまう。程好い匙加減。なんでもそうだが、シンプルなものほど実は奥が深いのだ。
完成したキーラを眺めると、それまでの成田デザインとはちょっと違う感じを受ける。全体のバランスを無視したような大きな手、怪獣というよりも怪人に近い出で立ち。だが、最もそれを感じるのはやはりこの大きな目だろう。成田さん自身、イメージの一新を図ったそうである。なるほど、この目は後の『キャプテンウルトラ』に登場するバクトンなんかに近い。企画会議で次の話は宇宙を舞台にしたものだと知った成田さんが、生物的なアプローチから大きく飛躍してデザインしたのがキーラなのかもしれない。ゆっくり閉じた瞼をカッと開いて光熱を放つシーンも印象的だが、僕はなんといってもQ星の山間からぬっと姿を現し、あの大きな目でこっちを見つめているシーンに痺れたものだ。




全高 重量 材質 原型師
275mm 1100g ウレタン樹脂 村田 幸徳