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第23話 『故郷は地球』より 棲星怪獣 ジャミラ TYPEU
VOLKS JUNIOR ULTRA WORLD NO:132
 



僕はジャミラが好きじゃない。むしろ嫌いな方だ。容姿、色彩、鳴き声、何を取っても魅かれない。だから、ジャミラが好きだという人の気持ちが分からない………。村田氏が原型を作ったジャミラTYPEUも長い間棚の中に放置していた。好きじゃない物は当然手に取らない。だから、完成品になるのはいつも周りのキット達だった―――。
今回手にジャミラを手に取ったのは理由がある。塗装に時間の掛からないものを作りたかったからだ。中々に面倒な塗り分けのものが続いたので、ここらであっさりしたものを、そんな思いからである。洗浄、組み立て、パテ埋め、サフ吹き、いつもの工程を淡々とこなし、塗装に入る準備が整ったところでDVDを見た。すると………出るわ出るわ、ジャミラの体色は複雑な色の宝庫だった。グレー、ブラウン、ブルーにパープル、様々な色が混ざり合ってあの奇妙な固体を形成していた。唖然としつつも懸命に色を重ねて行く。墨入れをして拭き取る事を繰り返す。するとそれを待っていたかのように村田氏の造型が応えるのだ。ヒビや皺が浮き立ち、絶妙の陰影を加えていく。やがて仕上がったジャミラは前回作ったものとは似てもにつかない仕上がりとなった。
結局時間はそれなりに掛かった。しかし、塗装の面白さや奥深さとジャミラという怪獣の持つ魅力の一端に触れた貴重な機会となった。これは怪獣と原型師と一ファンが織り成す幸福なトライアングルだと思う。




全高 重量 材質 原型師
160mm 125g ウレタン樹脂 村田 幸徳