第6話 『沿岸警備命令』より 海獣 ゲスラ
VOLKS JUNIOR ULTRA WORLD NO:075
 

ホシノ君が友達と遊びに来ていたのは山下公園の埠頭。そこでホシノ君の弟分は波立つ海面から巨大なヒレが現れたのを目撃する。「怪物がいた!」と主張する弟分。だがホシノ君はそこで別の怪物を発見する。宝石密輸犯で全国に指名手配されているダイヤモンド・キックだった―――。



ウルトラ怪獣には改造怪獣が多々いる。制作費のコストを抑える為の苦肉の策なのだが、しかし才能がそれを覆す。まったく新しい怪獣への変貌………、むしろ改造した後の方が魅力的だったり人気があったりする事すらある。これはもう驚くほかない。このゲスラもそんな改造怪獣の一体だ。カカオ豆が大好物のゲスラ、これは「ウルトラQ」に登場したピーターを改造して作られた。三角形の顔、クルクルと丸い目にはその面影が残っている。
さてそんなゲスラ、製作にはかなりのモチベーションを必要とした。まずは全身をグリーンとブルーとベージュで塗り分けた。墨入れはエナメル系のフィールドブルーを使った。全身をそれぞれの色調に合わせた感じでドライブラシを行う。頭や背中、ヒジにあるヒレの塗り分け、緑から青に、そして白へと複雑に変化する体色の表現など、乗り越えるべき壁は多かった。だが、そんな物は最後に待っているこの作業に比べればどうという事もない。棘の植え込みだ………。
棘はすべてランナーから外し、真鍮線を通して発砲スチロールに射して並べた。ブラックグリーンで吹いた後、棘の形状を見ながら少しずつキット本体に取り付けていく。全身に生えた無数の棘、これを一本一本植えつけなければならない。キットにピンバイスで穴を開け、同じように棘にも穴を開ける。0.1mmの真鍮線を通し、まるでかつらの植毛よろしく植えて行く。ゲスラはJr.ワールド史上、三本の指に入る手強さだった………。




全高 全長 重量 原型
135mm 125mm 175g 畑中 正義