Q星の暗い星空の下で、2体の宇宙怪獣は闘争本能の赴くままに向き合っていた――。無人探査機「プロスペクター」からBMヒューズを取り出す為、宇宙航行機「白鳥」に乗ってQ星にやってきた科特隊。彼等が到着早々に目にしたものは、キーラとサイゴの激しい一騎打ちだった。
キーラの影に隠れて存在感が薄いサイゴ。しかし、その造形は極めて魅力的である。複雑な凹凸のある顔、ペギラの系譜である眠そうな目、サイを思わせる灰色の硬そうな皮膚、大きくて長い身体、地面に素早く潜れるよう発達したシャベルのような手、尻尾の先端は魚の尾びれによく似た形状をしている。ざっと特徴を挙げただけでもこれくらいは出る。口から猛烈な砂煙を吐いてキーラを薙ぎ倒し、その上にのし掛かって押し潰そうとした。ウルトラマンさえてこずったキーラと、互角に闘えるくらいの実力は持っているのである。だが、対キーラ戦の後、科特隊が操縦する宇宙タンクを阻むかのように地底から現れたサイゴは、ミサイルを撃ち込まれてあっけなく敗北してしまう。サイゴの身体が硬直して、ベリベリと殻が接がれるにして四散する姿は、ネオニュートロンミサイルを撃ち込まれたパゴスの敢無い最後(サイゴ)と同じである。何しにでてきたのか分からないくらいのやられっぷり、これがサイゴの印象を薄くしている最大の原因だと思う。だが皆さん、これを機会だと思ってサイゴをじっくり見て欲しい。きっとサイゴの魅力を見直す事になると思う。サイゴの原型は川岸氏の作である。劇中でのサイゴはほとんど四足状態なので、後足二本で立ち上がったポーズは商品化用三面写真が元になっていると思われる。サイゴの圧倒的なボリューム感には少々物足りない気がするが、まるで狛犬の置物のような可愛らしさがあってこれはこれで楽しい。只、このキットには珍しいミスもある。サイゴの二股に分かれた手の端には小さな指があるのだが、このキットにはそれがない。「流石のボークスでもこんなミスをするんだな」。職人という人間の手仕事。その事実は返って僕にボークスへの親近感を深くさせる事となった。
全高 |
重量 |
材質 |
原型 |
120mm |
275g |
ウレタン樹脂 |
川岸 敬厳 |
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