「大室山公園の高原竜ヒドラが暴れるよ」。科特隊本部の作戦室に突然現れた少年はフジ隊員に向ってそう言った。少年の名はムトウアキラ。大室山公園に建てられたヒドラの石像の作者だと言う。アキラが口にした言葉が気になるフジ隊員は、早速アキラの居るあけぼの少年ホームへと向う。だが、そこで驚くべき事実に遭遇する。アキラは半年前、国道87号線でトラックに轢き逃げされ死亡していたのだ…………。
満天の星空の下、突然電気を帯びたかのように大室山山腹が輝き出す。凄まじい地鳴りが起こり、山頂が二つに割れて行く。噴煙と共に顔を覗かせたのは巨大な鳥。アキラの予言通り、高原竜ヒドラが目覚めたのだった―――。実に雄々しいヒドラの登場シーンである。怪獣がいつ、どんな方法で、どのようにして姿を現すか。これは怪獣好きにとって絶対に外す事の出来ない重要なポイントである。何時の間にかひょっこりというあっさり型よりも、重厚に荘厳に華麗にというこってり型の方が当然ポイントは高い。その点、ヒドラの登場シーンは文句なく素晴らしい。こってり型の典型のような演出であった。
さて、ヒドラタイプTの原型は畑中氏が担当している。口は開いてもヨシ、閉じてもヨシの選択式、羽を左右に大きく広げた立ちポーズにまとめてある。そんなヒドラだが、塗装の段階で大いに迷う事になった。ご存知のマニア諸兄も多いと思うが、ヒドラには体色の異なったものが2種類ある。一つは劇中のもの、顔や首、胸、手足が紫色で、鱗のような身体と羽が茶色と緑色をしたヒドラである。もう一つは商品化用三面写真のもの、こちらは顔や首など紫色をしていた箇所がこげ茶色に変わり、身体や羽が強い緑色になっている。どうしてこのような事になったのか詳しい事は知らないが、どちらももちろん本物である。考えた末、タイプTの方は劇中のイメージで、タイプUの方は三面写真の方のイメージで塗装する事にした。2つのタイプがあるからこそ、こんな塗り分けができる。実に贅沢だと思う。
全高 |
重量 |
材質 |
原型 |
160mm |
140g |
ウレタン樹脂 |
畑中 正義 |
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