死火山の大武山に異変が頻発する。大量の鳥が一度期に死んだり、度重なる地震が起こったり。四人の女性がハイキングの途中、霧の中から巨大な目玉を見たという報告も寄せられる。情報を総合してそれほど火急の問題はないと判断したムラマツキャップは、現地調査にフジ隊員を向わせる。やがて大武山の火口から猛烈な毒ガスの噴煙が立ち昇り、中から毒ガス怪獣ケムラーが姿を現した――――。
以外にも―――といっては失礼だが、この第21話「噴煙突破せよ」は見所が多い。小型ビートルに迫り来るケムラー、失神したフジ隊員に代わってビートルを発進させるホシノ君の冷静さと勇気、自衛隊火器部隊とケムラーとの壮絶な攻防、大武市の市街地で破壊の限りをつくすケムラー、またイデ隊員発明の新兵器、マッドバズーカでケムラーの急所を一撃するなど、実に盛り沢山である。加えてケムラー自身の魅力も豊富ときてる。ゲロゴロと耳に残るガマのような鳴き声、相手を威嚇する時にバッと広げる二枚の甲羅、サソリのように二股に分かれた尻尾の先からは怪光線を発射する。だが、なんといっても特筆すべきは毒ガスを吐く瞬間である。バシッ、バシッと口の中が激しく輝いたかと思うと、次の瞬間には真っ黒い毒ガスが猛烈な勢いで吐き出される。しかもこのケムラーは強い。スペシウム光線を食らってもビクともしない。当った所を前足でポリポリと掻くといった小憎らしいポーズさえ見せるのだ。強敵と呼ぶに相応しいケムラー、だが、知名度は今一つのようである。やはりあの潰れたガマガエルのような容姿のせいなのであろうか。ケムラーを作る際、やはり一番の難関になるのが背中に付いた二枚の甲羅である。白、黒、青、赤といった原色が斜めに配色され、二本の黄色い線が間を通っている。この甲羅の色、綺麗に塗ると絶対にケムラーの感じが出ないので、あえて薄汚れたように黒や青を吹き付けてみた。背中の急所はゴルゴスと同様、オレンジや黄色や赤などで生々しさを表現し、最後にクリヤーを塗ってツヤを出してみた。これを機にもう一度ケムラーを見返して欲しい。きっと意外な魅力に気付く筈である。
全高 |
重量 |
材質 |
原型 |
110mm |
320g |
ウレタン樹脂 |
光野 正広 |
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