多々良島の大地にうごめく黒い巨体、その正体は地底怪獣マグラーだった。四人の測候所員を二手に分かれて探す科学特捜隊の面々。ムラマツキャップとハヤタ隊員が険しい断崖を踏破している最中、地鳴りと共に大地が盛り上がりマグラーが姿を現す。黒曜石のような黒い身体を震わせて赤土を振り落としたマグラーは、崖の上にいる二人に向って真っ直ぐに進撃を開始した―――。
もはや最も有名な改造の系譜といっても過言ではないだろう。東宝映画「フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)」に登場したバラゴン、これがウルトラQ最強の怪獣と呼ばれるパゴスに改造された。そして、ウルトラマンではネロンガに続く怪獣としてマグラーとなり、ガボラへと生まれ変わった後東宝に戻されて再びバラゴンとなった。バラゴンの着ぐるみがよほど頑丈に作られていたという事はもちろんである。だがそれ以上に素晴らしいのは、決められた枠の中でありつつ、枠をまったく感じさせないほど斬新なアイディアで怪獣を生み出し続けた成田氏の表現力である。ウルトラ怪獣を生み出した成田氏の功績は本当に筆舌に尽くし難いものだと思う。
Jr.ウルトラワールドにおいて同一怪獣の新タイプが作られるのはよほどの事である。パゴス、ペギラ、ベムラー、ゴモラ、レッドキング…………。新タイプが作られた怪獣達は、どれも抜群の人気と知名度がある。劇中、レッドキングの姿を見た途端慌てて地中に逃げ返り、ムラマツキャップとハヤタ隊員にナパーム弾を投げ付けられて簡単にやられてしまったマグラー…………。そんな情けないマグラーがバルタン星人やドドンゴといった超メジャー級の怪獣達を押し退けて、堂々と新タイプの称号を手にしているのだから大したものである。とはいえ、マグラーの造形は確かに魅力的である。四足の巨体であり、黒い体表にはゴツゴツしたモールドと無数の棘、そして鋭角の背ビレが並んでいる。さぞかし原型師泣かせの怪獣であろうと思うのだが、原型担当の鎌田氏はどこにも手を抜く事なくマグラーの魅力を表現してくれている。
全高 |
重量 |
材質 |
原型 |
95mm |
360g |
ウレタン樹脂 |
鎌田 賢美 |
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