ギリシャ語で「愛すべからざる光」―――。我々はメフィストフェレスという名前で知っている。悪魔、メフィストフェレスは言葉巧みにファウスト博士を篭絡し、禁断の契約を交わさせた。そんな悪魔からイメージされたメフィラス星人もまた、サトル少年を巧みに誘導して、禁じられた言葉を吐かせようとする。「あなたに地球をあげます」。それは決して使ってはならない契約の言葉…………。
ウルトラマンが「光の子」ならメフィラス星人はその対極、「愛すべからざる光の子」である。メフィラス星人にもっとも悪魔的な部分を感じるのは、あの藍く、透き通るように深い瞳である。全身黒ずくめの威容はいかにも悪魔を彷彿とさせるが、藍い瞳の凄味に比べればどれほどの事もない。眩い光をすべて吸い込んでしまいそうなメフィラス星人の藍い瞳。あの瞳にじっと見つめられれば、思わず禁じられた言葉を使ってしまうかもしれない…………。策士というものは存外力は弱いと相場が決まっている。しかしメフィラス星人は違う。逆引力を操りタンカーを空へ飛ばしてみたり、拉致したフジ隊員を巨大化してビル街で暴れさせたりもした。しかも、バルタン星人、ケムール人、ザラブ星人など、かつて地球を苦しめた宇宙人達を配下として従えている。恐るべき実力者なのである。それはウルトラマンとの闘いにも如実に現れていた。飛ぶ、投げる、放つ。
あのウルトラマンとすべてにおいて互角に闘える宇宙人。その事実は驚きと共に記憶の中にくっきりと刻まれた。そんなメフィラス星人の塗装のポイントを一つ。全身のほとんどが黒色に覆われているので、一見塗装は簡単そうに見えるが、それは違う。黒は扱いが非常に難しいのである。黒は黒でも茶色に近い黒なのか藍が混じった黒なのか、はたまたグレイがかった黒なのか。黒はその見極めがとても重要なのである。あなたが今一度メフィラス星人を見つめた時、黒の中に別の色を発見する筈である。ガレージキットの塗装とは、大袈裟に言ってしまえば再発見の旅のようなものである。あらためて見つめる事で何かを新たに見つけたり、思い起こしたりする楽しみがそこにはある。
全高 |
重量 |
材質 |
原型 |
175mm |
120g |
ウレタン樹脂 |
林 功次郎 |
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