モンスター博士との異名を持つ老科学者、中村博士(実はネス湖探検の途中に失踪した二階堂博士)。夜、北山湖のほとりにある研究室のトカゲやヘビ、カメなどにひとしきり餌を与えると、さも嬉しそうな顔で湖を見つめる。「ジラース!ジラース!」。中村博士の呼ぶ声が湖面一杯に広がる。すると、月明りに照らされた湖が泡立ち、ジラースの咆哮が辺りに轟くのだった…………。
ジラースはゴジラの改造である。正確に表現すれば、ハイブリッドされたゴジラの改造である。ジラースの身体は『モスラ対ゴジラ』のゴジラの身体であり、ジラースの頭は『怪獣大戦争』のゴジラの頭である。なぜそのような事になったのか詳しい経緯は知らないが、兎に角ジラースの土台は、二種類のゴジラを合成して作られたものなのである。
しかしながらゴジラに襟巻を付けるという発想が非常に面白い。襟巻というワンポイントと、ゴジラの黒い体色を緑色や黄色や水色に色付けするだけで、あの名獣のシルエットとはかなり異なった印象を与えるのに成功している。これはもう発想の勝利である。
ムラマツキャップが操縦するビートルが北山湖にさしかかった時、猛り狂ったジラースが湖から上陸してくる俯瞰のシーンがある。首の襟巻を大きく開いて咆哮を上げるジラース。このシーンなどはゴジラという印象を吹っ切らせてしまうほど、ジラースのカッコ良さが表現されている。是非ともご覧頂きたい。Jr.ワールドの中でジラースは2体がラインナップされている。タイプTは畑中氏が原型を担当した。脂の乗り切っていた頃の畑中造型、数ある畑中氏のキットの中でベストはどれかと聞かれれば、僕は迷わずこのジラースを推す。塗装はゴジラと同じく黒をベースにして、そこからダークグリーンなど緑色を順に明るくドライブラシしている。腹や頭、襟巻の筋など黄色がかった部分と、頬や襟巻の筋と筋の間など水色がかった部分は、塗り分けの際きちんとメリハリを付けてやるといい感じに仕上がってくる。目玉はオレンジ色のベースが目立つように塗ってやると、当時のコジラの雰囲気がとても強く伝わってきて楽しめると思う。
全高 |
重量 |
材質 |
原型 |
180mm |
245g |
ウレタン樹脂 |
畑中 正義 |
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