ハヤタがフラッシユビームを焚いてからが本番だった―――。乱立するビル街で、炎上するコンビナートで、山深い湖のほとりで、ウルトラマンが怪獣と向かい合った瞬間から瞬きを止める、これが掟だった。胸のカラータイマーが青から赤に変わり、やがて点滅が激しくなってくる。「残された時間はあと僅かなのだ!」。興奮を煽るべく石坂浩二氏のナレーションが被さる。するとウルトラマンの腕が胸の前でクロスして…………!ほとばしるスペシウム光線。このポーズはもはや伝説である。
通称ウルトラマンAマスク。第1話から第13話まで計13本に登場した、最初のウルトラマンである。BマスクとCマスクの差はそれほどでもないが、Aマスクだけはほとんど別人、いや別マンといっても過言ではないだろう。ボコボコと凹凸があって左の口元が引きつったその顔は、僕等が見慣れているツルリとした卵肌とウルトラマンとは大違いである。ある時、娘と一緒にウルトラマンを見ていたら、Aマスクを見て突然こう言った。「これ、ウルトラマンのおじいちゃん?」。ウルトラマンショーでウルトラマンと握手をしたのが最初のウルトラ体験である彼女、ブラウン管の中でアントラーと格闘しているウルトラマンを実に不思議そうに見つめていたのが忘れられない。
キットはCタイプに続いて圓句氏が原型を担当している。立ちポーズだった前作とは違い、今度は膝を立ててスペシウム光線を発射するポーズとなっている。第12話「ミイラの叫び」に登場したドドンゴに、迷いながらもとどめをさした時がこのような座りポーズだった。ともすれば見難くなる特徴的な顔のシワも丹念に作り込まれていて、その事で逆にウルトラマンAマスクに対する圓句氏の深い愛情が感じられるようである。今、Aマスクをあらためて眺めていると、BマスクやCマスクにはない苦悩と変遷と熱情の後が見てとれるようである。Aマスクがなければ偉大なウルトラマンCマスクは生まれる事はなかった。その一つを取ってもこのマスクは忘れ難い魅力を放っているのである。
全高 |
重量 |
材質 |
原型 |
135mm |
95g |
ウレタン樹脂 |
圓句 昭浩 |
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