突如、地底人の地上進攻が始まった。夜の赤坂、ビル街の地面が大きく盛り上がり、爛々と冷たく光る青い瞳が覗く。「行け!テレスドン!!!」地底人の女が叫ぶ。地底人の尖兵として地上の文明を破壊する為に現れたテレスドン、口からオレンジ色の炎を吐いて街を焼き尽くして行く。ムラマツキャップ自らの操縦で、科学特捜隊のナパーム弾攻撃が続く。だが、ナパーム弾が底をつくまで撃ち尽くしても、テレスドンの歩みは止まらない………。
テレスドンは正面と横顔ではまったく印象が異なる怪獣である。子供の頃、両親に買ってもらった怪獣図鑑、そこには商品化用の三面写真の一枚と思われる、正面からの写真が載っていた。まるでオニギリを押し潰したような平べったい顔のテレスドン、正直言ってまったく魅力を感じなかった。僕は1967年生まれである為、ウルトラマンの本放送は観た事がない。それゆえ、怪獣を知るのはもっぱら本だった。一枚の写真を穴の開くほど見つめながら、泣き声や動きなどを想像したものである。そんなある日、ウルトラマンの再放送が始まった。夕方、テレビの前に座り、文字通り瞬きすらしないようにして食い入るように画面を見つめた。そしてついに第22話、「地上破壊工作」にて動くテレスドンと対面する時が来た―――。夜のビル街に出現し、破壊の限りを尽くすテレスドン。その暴れっぷりも凄かったが、何より僕の目を捉えて離さなかったのが、美しい流線型のテレスドンの横顔である。それ以来、怪獣の似顔絵と言えばテレスドンを描いた。小学校一年生の頃の話である。
圓句氏の原型であるテレスドンは、一瞬の切り取りとでも言うべき振り向きのポーズである。節くれた体型を表現するのに、これほど効果的なポーズもあるまい。さて、キットの組み立てはすこぶる簡単なのだが、問題は体色である。簡単に茶色一色というほど甘くはない。節を黒でエアブラシし、体色のベースは黒に近い茶色で塗って、そこから徐々に明るい茶色をドライブラシしていった。結構、根気のいる塗装だった。
全高 |
重量 |
材質 |
原型 |
155mm |
332g |
ウレタン樹脂 |
圓句 昭浩 |
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