ヘドラに引き続き、トラウマシリーズ第二弾と呼ばせてもらう(苦笑) おそらく映画館で観たのだろう。今となっては記憶が定かではないが、トラウマになるくらい強烈な印象を持ったのだ、ブラウン管ではなくスクリーンでのインパクトならではだと思う。ゲゾラは人を襲う。長い2本の触腕を伸ばして木々を薙ぎ払い、家を壊し、人に巻き付く。それだけならまだ耐えられるのだが、あの目はダメだ……。黄色く濁った赤い目、焦点の合っていない目が子供心にどうにも怖ろしかった。怪獣図鑑をめくっている際、ゲゾラが現れたら急いでページを読み飛ばしていたほど嫌だった。それがどうだ。今やあの目を再現しようと時間を忘れて懸命に格闘している……。まったく人生とは不思議なものである(笑)
造型はレジンシェフとうけけ団の杉田知宏氏だ。先のトラウマシリーズ第一弾、ヘドラも杉田さん作だった。トラウマ怪獣は他にもいる。その時はまた杉田さんかもしれない……。でも、これは良い意味で運命だ。なぜなら完全にトラウマを払拭し、それどころかカッコいい印象に変化させてくれるから。圧倒的なクオリティーの造型物として目の前に現れたヘドラやゲゾラを見れば、色を乗せたいという衝動に駆られ、怖れなどはどこかに吹き飛んでいる。
そうそう、今回は箱を開けた瞬間に「アッ!」と声が出た。ゲゾラを演じた中島春雄さんの姿が造型されているのだ。着ぐるみを被ると見えなくなってしまうスーツアクターの姿がしっかりとそこにある。刻印されている。なんと深い愛情表現だろう……。こういう心あるものを見せられると当然ながら気合いが入る。
塗装はいつものように黒で縁取り、明るい部分にはジャーマングレーを乗せて凹凸の差異を作り出すところから始めた。そこから全体に明るい色を吹き付ける。今回重宝したのはアクリルの灰緑色。ニュートラルグレーと混ぜて灰色に寄せたり、フィールドブルーと混ぜて青色に寄せたりして使い分けた。全体のトーンが決まった後、筆を使ってブルーFS 15044で陰を作り、艦底色で汚れやダメージを作った。そのままだと筆塗りした色が立ち過ぎているので、再び灰緑色をエアブラシで吹いて上から薄く蓋をしていく。これを馴染むまで繰り返す。特徴的な目は本編の映像を静止して、アップをスマホで撮影し、それを見ながら気が済むまでなんども繰り返し塗った。怖ろしい目が仕上がっていくにつれ、歓びさえ感じていたほどだ(苦笑)
完成したはいいが、さて、どこに飾ろうか? いよいよもって仕事場もスペースがなくなってきた。そろそろ別の置き場を考えないといけないなぁ。
全高 |
重量 |
パーツ数 |
付属品 |
290mm |
1600g |
16点 |
セルジオ島のコウモリ |
材質 |
原型師 |
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ウレタン樹脂 |
杉田 知宏 |
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