「所詮はゴジラの二番煎じ」製作した大映の社員達も大方がそんな意見だったそうだ。そんな逆風の中で公開された『大怪獣ガメラ』は、社員達の予想を裏切って大ヒットする。その半年後、急遽作られた続編が『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』である。
この二作目に登場するガメラはマニア諸兄の間では愛情を込めてバルガメと呼ばれる。ギャオガメとかバイガメとジャイガメという言葉はなく、唯一この二作目のガメラだけがバルガメと呼ばれている。なぜか? それはやはり、カッコ良さに起因するのだと思う。シャープな顔立ち、無骨ながらも凛々しい姿、何より凶悪な目付きによるものであろう。僕もバルガメの顔、特に目付きが一番好きだ。子供の頃にたくさん怪獣の画を描いたが、強さとカッコ良さを強調させるのはやはり、バルガメの上目付きおいて他にない。
さて、バルガメの原型は若き造形師のホープ、竹添展氏である。竹添さんとは一度お会いして以降、とても親しくさせていただいている。湧き上がる情熱とは対照的に冷徹なまでの視線で物事を見極めようとする、たとえるなら修験者のような人だ。若いのに僕など足元にも及ばないほどの怪獣に対する愛情と深い知識がある。だから、話をしていると教えられることばかりだ。そんな竹添さんが拘り抜いて造ったバルガメ、悪かろう筈がない。問題はこの造型をダメにしないよう、いどのように塗ればいいか、である。
ガメラはゴジラと比べると黒い印象がある。実際、映像を見ていていても黒が基調だ。しかし、僕の脳裏には開田先生が描かれたバンダイのプラモデルパッケージの画が刷り込まれている。噴き上がるマグマの中に立つ、青光りしたガメラの雄姿だ。ガメラブルー。映像よりも若干青味がかるように塗ろうと決めた。純粋に黒を塗った箇所は一つもない。すべて、黒に青や緑や茶などを混ぜて、黒の中に潜む青味の体表が現れるように注意した。一方で牙や爪などはかなり自由に表現してある。ガメラの凄みと炎のマッチングを意識して、赤寄りに汚しをかけた。最後に目付き。凶悪になるよう、誰もが憧れたバルガメの目になるよう、老眼鏡の助けを借りて頑張った。そのおかげか、完成したキットの写真を見せると、竹添さんからは大喜びのメールが届いた。
ゴジラとガメラはライバルではない。ゴジラはゴジラであり、ガメラはガメラだ。両者のベクトルはまったく違うし、魅力は共にある。バルガメを作ってその想いを新たにした。
全高 |
重量 |
パーツ数 |
付属品 |
290mm |
1700g |
11点 |
なし |
材質 |
原型師 |
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ウレタン樹脂 |
竹添 展 |
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