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GG'R
百足怪獣 ムカデンダー
Chapter of ULTRAMAN TARO 〜MUKADENDER〜
第26話 『僕にも怪獣は退治できる!』より 百足怪獣ムカデンダー
正直なところ、思い入れはまったくない。沢山いる怪獣の中の一つという位置づけだ。 だからといって手を抜こうとか、サラッと長そうという意識は毛頭ない。他の怪獣と同じく、いや、むしろ有名な怪獣以上に手間をかけて作ろうと思う。こんな話をすると「ほんとに怪獣好きなんですね〜」と笑われる。これはもう好きというより愛といった方が正しいのかもしれない(笑)
ムカデンダーはタロウ中盤に登場した。名前の通り、百足がモチーフの怪獣だ。デザインは昭和後期によくみられる自由奔放さで、トゲやらムチなどがゴテゴテと装飾されている。形はユニークであり、人間のシルエットを崩そうと試みられている。その心意気は大いに買うのだが、どうしても志村けんさんの白鳥(股間が白鳥の首)に見えてしまう(実際にはタロウの方が先だと思うので、ムカデンダーにはなんとも気の毒なのだが……)。今回、彩色の為に本編を観返したらゲストで江戸屋猫八さんが出ていた。猫八さんは当時よくテレビで見かけていたし、親しみのある表情と江戸言葉、鳥の鳴き真似の芸風が好きだった。思いがけず懐かしさに触れるのもウルトラシリーズの良いところだ。
ムカデンダーの造型はセブンとタロウの宇宙人や怪獣を勢力的に行っている仙田耕一氏の手による。仙田氏のタロウ怪獣を制作するのはバードン、アストロモンスに続いて三体目なので、組み方などはかなり勝手が分かってきた。キットは分割方法やダボの付け方など原型師さんによって個性が現れる。ましてや仙田氏のように複製までこなすとなると、湯口の取り付けなんかも業者抜きとは随分違う。当然ながらスマートではないし、気泡や割れ・欠けも多くなる。また、パーツに触れた際の離型剤の感じ(べっとりとした)もかなりキツい。これは当然そうなってしかるべきものだから、頭の中をGGRモードにしてパーツの整形を進めていく。その結果、身体の左右に埋め込むトゲはギリギリまで(整形、彩色まで)ランナーから外さずにおいた。おかげで取り付けも間違えることなくスムーズに作業することが出来た。
彩色は緑と赤が基本色となる。いつものように艶消し黒で全体の凸凹を強調し、その上に濃い目の緑をエアブラシで吹いていく。緑が終わったら今度は赤だ。多少色が食み出したり混ざったりしても構わない。くっきりと色が分かれていない方がむしろ実在感が増すからだ。ベース塗装が終わったら青や茶色をエアブラシと筆を使って足していく。どれくらい足すかはそれぞれの好みだと思う。最近の好みは本編の中盤辺りが狙いで、出現してからそこそこ時間が経っていて、攻撃も受けているから埃や汚れなどがある程度全体に付着した状態といったイメージで塗っている(マニアックだな……)。今回も茶色を多めに、凹みに泥が入り込んだような雰囲気を狙っている。取り付けた赤いトゲはグラデーションを利かせて汚しも加えたのだが、今一つ単調で思い描いたような効果が生まれていない感じだ。またいつか折を見て手を加えてみようと思う。こういうところもガレージキットの楽しみ方だと思う。
仕上がったムカデンダーをしげしげと眺めつつ、昭和後期のウルトラに思いを馳せる。
カッコよくない、かといって酷くもない。ひたすらに自由な怪獣という架空の生き物の伸びやかさにあの時代の空気を感じる。
全高
重量
パーツ数
付属品
360mm
1300g
31点
(トゲパーツはランナーに付いた状態)
なし
原型師
仙田 耕一