東シナ海上空6000mを飛ぶ日本のジェット機。だが、快適な空の旅はふいに終わりを告げる事態に遭遇する。雲間から覗く赤、黄、赤の三つの灯り。ユラユラ、フワフワと揺れながら、怪獣が姿を現した―――。ジェット機が突如爆発四散した映像は全世界に中継され、日本では午前4時という早朝に流れた。有り得ない時間の放送、有り得ない位置からのカメラアングル、しかも、実況中継された事故の映像は、紛れもない本物の事故であったのだ…。
テレビ―――。今では24時間フルタイムで放送される事も当り前である。しかし、帰って来たウルトラマン放送当時(昭和46年)、テレビは深夜で放送が終わるものだった。次の太陽が昇るまでテレビは一時の休息に入り、その間ブラウン管には、通称「砂の嵐」と呼ばれるザラザラの画面とシャーッという雑音に包まれる。その画面をじっと見ていると、女のすすり泣きが聞こえてきたり、砂粒が集まって幽霊の姿になったりと、嫌なウワサが絶えなかった。年に何度か夜更かしをした際、放送の終わりを告げるテロップが流れると、「砂の嵐」が映る前に急いでテレビを消したものだった…。
帰ってきたウルトラマンを想い返す時、ビーコンの存在は外せない。電波を食料とし、かつ、体内で電波を製造し放出できる機能を備えたビーコン、その存在は例えるならテレビ中継車である。そのアイディアはデザインにも存分に活かされている。背中の棘は電波塔であり、赤、黄、赤と三つ並んだ目はカメラのレンズを思わせる。テレビという存在が生活の重要な位置を占める子供時代、ビーコンの存在はインパクトがあった。
キットの作成で面倒なのは、背中に生えた無数の棘で塗り分け。ビーコンの写真をよく見てみると棘の色は実に多彩で、青にオレンジにベージュに赤にと随分カラフルなのである。これはもう根気よくマスキングして塗り分けるしか方法がない。最後に疑問を一つ。ビーコンと交戦した際、MATが撮影した航空写真。そのビーコンには牙が四本生えている。これは一体どういう事なんだろう……。
全高 |
重量 |
材質 |
原型 |
150mm |
300g |
ウレタン樹脂 |
杉浦 千里 |
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