第19話 『宇宙から来た透明大怪獣』より 忍者怪獣 サータン 
VOLKS JUNIOR ULTRA WORLD NO:164
 

夏休みの校庭、ウサギのピョン太の成長記録を取っている次郎達。そこへ突然赤い火の玉が降って来る。次郎からの通報で駆けつけた郷と上野は、穴の開いた地面の奥から赤い隕石を取り出す。「学校の標本室に飾りたい」という申し出を受け、問題なしと判断する郷。喜んで隕石を眺める子供達、すると突然隕石は膨張し、やがては校舎を突き破ってしまう。ピョン太を守ろうと駆けつける次郎、その時校庭に巨大な影を見る………。



帰って来たウルトラマン全51話の中、絶対に五指に入るエピソードだと思う。人間の織り成すドラマ、SF的な怪獣の設定、昼夜で行われるビル街の死闘を盛り上げる特撮、それらすべてがクライマックスに向けて流れて行く。素晴らしい上原脚本だと思う。宇宙怪獣と言えば一話前のベムスターがあまりにも有名である為、サータンはすっかり割りを食ったような格好である。だが、中性子怪獣の別名の通り透明化したり、コンクリートの壁面をすり抜けたり、得体の知れない狂気をはらんだ瞳で暴れまわる姿はまさに宇宙怪獣に相応しい(大怪獣というにはちょっとデザイン的に違う気がするが………)。 そんなサータンはJr.シリーズの後期、帰りマン怪獣を数多く手掛けた杉浦氏である。サータンを製作するのに最大の難関は毛の表現だろう。頭から背中へ、ゾウのような剛毛がパラパラと生えている。毛は付属品には含まれておらず、各自の工夫で自作するようになっている。実にガレージキットらしい潔さだ。始めはいらなくなった習字の筆の毛を使おうかと考えたが、柔らかくて短かすぎて断念。今度は人形のビニールの髪の毛をと思ったが、こちらも剛毛のチリチリした感じは出ない。そこで細い真鍮線を適当な長さに切り、指でガチガチと折り曲げながらドリルでキットに穴を開けて取り付けた。最後に線の下半分にはブラウン系の色を吹き付け、違和感のないようにしてみた。僕はそれらしい感じに上がったと思うのだが、皆さんはどうだろうか。ちなみにこのサータンの眼、造形家の原口智生さんが遊びに来た時に褒めてくれた。宇宙怪獣の狂気は原口さんに伝わったようである。




全高 重量 材質 原型
168mm 190g ウレタン樹脂 杉浦 千里