かなめみお
古代怪獣 ダンガー
Chapter of Return of ULTRAMAN 〜DUNGER〜
第9話 『怪獣島SOS』より 古代怪獣 ダンガー
 


たまたまSNS上でどなたかの完成品を見た時、電気が走った。そう、あまりのカッコ良さに痺れたのだ。制作中のものをいったんストップさせ、箱からパーツを取り出して作業机に並べ、そこからは一気呵成に仕上げた。たまにこういう火が点いたような衝動に駆られる時があるのだが、そこには必ず何かしら理由があると思う。なので、なるだけパッションには従うようにしている。そんな勢いで作り上げたダンガーはやはりカッコいい。野生を思わせるようなしなやかな身体つき、岩石のような皮のような独特の皮膚、両手の一本爪はこれで殴られたらひとたまりもないほど太く鋭い。ただ、なんといっても目につくのはライオンのタテガミのようなコブだ。子供の頃は「ソーセージ怪獣」なんて仇名を付けてちょっとバカにしていたものだが、それはもう前言撤回。実に浅はかだった。このコブはいうなればイヌやネコの尻尾のようなもので、くねり方に感情がある。先端にまで神経が行き届いているのが分かる。挑むような眼をしたダンガー、それと呼応するようにコブが拡がり、跳ね上がっている。こういう演出に出会うとそりゃ心も沸き立つというものだ。



原型はこの方、森下要氏。コンスタントにキャラクターを造り続け、30cmサイズの怪々大行進もいつのまにかナンバリングは81を数える(最新作のコダイゴンは85)。そう遠くない日に三桁へ達するのは間違いない。世の中に大言壮語を吐く人は多々いるが、それを実現するとなると難しい。僕は常日頃からルーティンを淡々と実行出来る人ほど強い存在はいないと思っているのだが、まさに要さんはそんな人だ。だから応援したくなる。これからも身体に気をつけて造り続けて欲しいと願っている。



ダンガーの彩色に関してはさほど悩むところはないだろう。基本色はベースに黒、その上に青と茶、隠し味に土埃という具合だ。制作はコブの取り付けの方に難がある。パーツにはアルファベットが刻印されてはいるのだが、リューターで成型したり、サフ吹きの途中で分からなくなってしまうこともある(実際、僕がそうだった)。そこで板の上にアルファベットを書いて、一つひとつのコブに真鍮線を通し、それを板に差し込んで並べた。要するに分からなくならないようにすればオッケーだ。(あれ、どれだっけ?)とパーツ探しに時間を取られるのは勿体ないから。それから、コブと尻尾は最初からくっ付けてしまわず、八割ほど塗装を進めてから取り付けた。そうしないと色は塗れても、微細な表現が出来難くなる。塗装が済んだ場所にパーツをくっ付けてパテで埋め、削ったり溶きパテで修正すると、折角の塗装まで剥がれたり潰れたりしてしまう。でもそれは最高の仕上がりの為の過程として諦めるしかない。ここで手を抜かないことが完成作の出来を決める。



なんて偉そうなことを言ってはいるが、僕もまだまだ成長過程である。仕上がってしばらくするとクールダウンして全体を冷静に見られるようになる。するとどうだ、もう、あっちにもこっちにもアラが見えてくる……。しばらくしたらリペイントして、どんどん高みを目指そうと思う。ビバ、キットライフ。永遠に終わらない趣味の旅(笑)










全高 パーツ数 付属品 原型師
330mm 41点 なし 森下 要