アス工房
鼠怪獣 ロボネズ
Chapter of Return of ULTRAMAN 〜ROBONEZU〜
第45話 『郷秀樹を暗殺せよ!』より 鼠怪獣ロボネズ
アス工房 モンスターズコレクション N0.3
 


おそらく立体化はほとんどされていない。豊富なラインナップを誇るボークスJr.シリーズでさえ、リストに名を連ねることはなかった。鼠怪獣ロボネズはそれほどマイナーな存在なのだ。





登場回は新マンエピソードの終盤だ。冒頭からいきなり大暴れ、月明りに照らされた工場一帯を火炎で焼き尽くす。通常であれば最初に謎があり、MATがそれに迫り、ついに怪獣が現れて――という流れとなるが、今回、鉄壁のセオリーは無視だ。なんの説明もなくロボネズが狂気の目を剥き出して暴れ狂う。MATとの激しい攻防、やがて新マン登場。あっけなくロボネズは倒される。ここまで約5分。まるで「噛ませ犬」ならぬ「噛ませ鼠」のようだ。冗談めかしているが、これがあながち間違いではない。ロボネズは斬られ役であり、しかも新マンの腕を噛んで体内に毒を流し込む。この毒が以降の展開の謎を呼び……とまぁこんな流れなのだがそれを延々と説明していても仕方がない。そろそろキットの話に移ろう。



原型はこの方、浅川洋氏だ。振り返ればアス工房のモンスターズコレクションはスタートからして異様だった。1体目がノコギリン、2体目にフェミゴン、3体目はロボネズ……。これらが30cm強で展開されるのだから強気、いや、浅川さんどっかおかしくなったんじゃないか?と周囲は心配した。マイナー怪獣オンパレード(しかも以後にはデットンまで加わる)、こんなラインナップは普通ならあり得ない。とはいえだ、写真を見ていただくと分かるようにどこから見てもパーフェクトなロボネズである。立体化されたと思ったらいきなり至高の一品が出た。浅川さんの卓越した造形力と無いなら造ってしまえのガレキ魂はアッパレとしか言いようがない。





塗装はシンプルだ。胴体は茶色、背中は銀色、尻尾は赤茶と黒のツートンカラー。でも、これがクセモノなのだ。シンプルなものほど誤魔化しがきかなくなるのはこれまで何度も述べてきた。つまり茶色の奥にあるベースの色や、茶色の中の赤みがかったものから黄色に寄ったもの、薄いから濃いものまで濃淡を探さなければならない。それは背中の銀色も同じであり、尻尾だってそうだ。基本塗装をブラックとジャーマングレーで行い、そこから上記した色を重ねていった。そうすることでしか毛並みのふわふわ感や背中の硬質感は引き出させない。浅川さんはガレージキットを送り手(原型師)と受け手(作る人)の共同作業だと評する。原型師が何にこだわり、どこを見せたいのかを理解し、作る側がそれを塗装で上手く引き出して魅せていく。なるほどと思うと同時にまだまだだとも思う。つくづくガレージキットは奥が深い。越えたと思ってもまたすぐに次の山が現れる。小説やマンガなどの創作物とまったく同じだ。どちらも息が抜けない。これじゃストレス解消にもなりゃしない。……でも、これがそうじゃない。本気で挑むと実はストレスって溜まらないのだ。これ、ほんとの話し。
というわけでキット作りの旅はまだまだ続くのであった―――。





全高 重量 パーツ数 材質
240mm 1400g 13点 ウレタン樹脂
付属品 原型師    
なし 浅川 洋