絶滅屋
宇宙大怪獣 ベムスター
Chapter of Return of ULTRAMAN 〜BEMSTAR〜
第18話 『ウルトラセブン参上!』より 宇宙大怪獣 ベムスター
 


素晴らしい造型を前にすると、自然とテンションも上がってくるものです。言葉を変えるなら、抑えきれない衝動って感じかな。寝ても覚めても続きが気になって仕方がない。精神をビョーキにさせられる。それくらいこのベムスターは夢中になって仕上げました。
 とはいえ、それが仕上がりと直結しないのがガレキの難しいところ……。ベムスターの体色をどう表現すればいいのか試行錯誤しましたが、結局最後まで掴めず仕舞いでした。あぁ、悔しい!
 そんな悩ましいベムスターを造ったのは絶滅屋の佐藤和由氏。ご本人のご活躍は存じていたんですが、一度もお会いする機会のないまま、先に造形物に出会ってしまいました。
 先にも書いた通り、実に良い出会いでしたよ。ベムスターは情報量の多い正面よりむしろ、何も無い背面の方が難しいと思うんです。誤魔化しが利きませんからね。佐藤さんのベムスターは猫背気味に背中を丸め、でも肩幅は広くて大きく頼り甲斐があり、まるで父つぁんがどてらを羽織っているような雰囲気です。どてらの一面に広がる大きな溝と無数の小さな溝の表現も巧みで、何より真摯に形と向き合っている感じが伝わってきました。文章もそうなんですが、小手先でやっつけたものと好きな気持ちをぶつけたものとでは、一見同じように見えて伝わり方が違うんです。これってどんな仕事もそうですよね。
 塗装はベースにアクリルのブラックを吹き、周辺はブラックグレーやフィールドブルー、ジャーマングレイなどでタッチを変化させていきました。エアブラシだけでは溝の深い部分まで色が届かないのでエナメルで薄くウオッシング、いわゆる墨入れをしました。上半身は濃い青色に、下半身は戦闘で付着した埃をまとった感じにする為に茶色に寄せていきました。その際、エアブラシも使いますが、筆で様々な色を描き込むように乗せていきます。もちろん背中もまんべんなく、凸凹を意識しながらの筆塗りです。根気は要りますが、仕上げは格段によくなります。黒はただ黒じゃなく、白はただ白じゃないの精神です。完成したベムスターにはまだどこか物足りなさを感じています。時間が経って新鮮な目を向けれるようになったら、リペイントを発動しようと思います。







全長 重量 パーツ数 材質
310mm 1900g 11点(目はクリアパーツ) ウレタン樹脂
付属品 原型師    
なし 佐藤 和由