それは西イリアン諸島から産卵の為にやって来た――。マグロ漁船海神丸は、世界宝石展に出品される宝石の原石を積んで、フィリピン海を東京に向かって進んでいた。どこまでも穏やかな夜の海、日本が近づいた事で乗組員もすっかり上機嫌で甲板に集って唄を歌っていた。その時、突如船体を激しい衝撃が襲う。唖然とする高村船長の眼前に、海を割って角を光らせながらシーモンスが姿を現した。
「ハウコム イクモ ケナケナ シーモンス」。モロタイ島民の間で唄い継がれて来た民謡である。「シーモンス…………」、今や事故のショックで廃人同様になってしまった高村船長は、ただその言葉だけを繰り返す。真相のヒントを掴みたいMATは意味不明なこの唄を言語分析器にかけた。「シーモンスは島の守り神。シーモンスは気立ての優しい怪獣。だが、シーモンスが海を渡る時は気をつけろ。恐ろしい事が起こる」。解析の結果判明した歌詞は恐ろしい予兆を暗示する内容だった。やがて予兆は現実のものとなる。東京湾沿岸のセメント工場にシーモンスが上陸したのだ。第13,14話。帰りマン全51話の中において、突出した特撮スペクタクルを味わえる作品である。シーモンスと自衛隊火器部隊との攻防、ウルトラマンの敗北、追い詰められたMATの逆襲など見所は数多い。だが、なんといっても凄まじいのは東京に押し寄せる津波と荒れ狂う竜巻の大破壊シーン。プロデューサーだった円谷一氏がこのシーンを見た瞬間、「円谷プロを潰す気か!」と烈火の如く怒ったという逸話が残されている。それもそうだろう。このシーンは完全にテレビを超越している。まさに映画並の時間と予算を注ぎ込んだ前代未聞の特撮だったのだから。帰りマンを代表する怪獣の一つであるシーモンス。原型は光野氏が手掛けた。いかにもメス怪獣らしく丸みのある柔らかなフォルム、大きな目、草食動物のような臼状の歯、一つひとつ丁寧に作り込まれている。シーモンスを作ってしまうと是が非でもシーゴラスを作りたくなるのは、マニア諸兄ならば当然の事と思う。
全高 |
重量 |
材質 |
原型 |
81mm |
276g |
ウレタン樹脂 |
光野 正広 |
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