帰って来たウルトラマンの最後期に登場する怪獣達は不遇だ。ボークスJr.を始め、これまで中々キット化に恵まれていない。理由は色々あると思う。物語のテンポ、怪獣のデザイン、そして、後続番組であるウルトラマンAのグラビア展開で、興味がそっちに移ってしまったなどなど。僕は坂田兄弟がナックル星人に殺され、ヒロインがアキからルミ子に代ったところから急速に熱が冷めた。アキが死んだのに、もう違う女と微笑み合う郷隊員には子供心に強烈に違和感があった。以後、瞬きしないで画面を凝視するというエネルギーは、二度と帰っては来なかった……。しかしだ。あらためて最後期の怪獣を見てみると、実に味わいのある存在が並んでいる。ヤメタランス、グラナダス、ロボネズ、そしてこのフェミゴン。ちょうど怪獣から超獣へと移行する過渡期、実にユニークな者達がブラウン管狭しと暴れ回っていたのだ。
フェミゴンの造型は大好きな原型師である浅川洋氏の手によるもの。このページを読んでくれている諸兄は、既に浅川さんの造形センスを骨の髄まで知り尽くしておられると思う。浅川さんはどんなアイテムをチョイスしても、常にカッコイイものが現れる。これって凄い事だと思う。メジャーなカッコイイ怪獣をカッコ良く作れる人はいるが、マイナーでゴテゴテしたデザインの怪獣をカッコ良く作れる人は限られている。浅川さんは怪獣造形界において本当に稀有な存在なのだ。この堂々としたフェミゴンの勇姿、全体のバランスから体表の皺、反り返った鱗、味わいのある尻尾……。作りながら、その事をあらためて強く思った次第だ。塗装は予想以上に困難を極めた。鱗をきっちりと際立たせたかったので、ベースをカウリング色で暗く塗り、そこからパープル、フタロシアニンブルー、ミディアムブルー、スカイブルー……一体何色使ったか分からないけれど、一枚一枚手塗りを行った。だが、塗った直後はテッカテカ、このままではあまりにもおもちゃっぽいので、エナメルのバフで墨入れ、エッジを効かせるように所々ドライブラシを掛けて仕上げ。青、赤、黄、まるで信号のような体色なのだが、原型の熱量が高い為にしっかりとまとまって見える。浅川さんにはこれからも不遇な怪獣達をどんどん世に出していっていただきたい。
全高 |
重量 |
材質 |
原型 |
340mm |
1.8kg |
ウレタン樹脂 |
浅川 洋 |
|