第43話 『魔人月に吼える』より 発砲怪人 グロテス星人
VOLKS JUNIOR ULTRA WORLD NO:145
 

大悪党でもなく悪党でもなく小悪党、まさにその名がピッタリのグロテス星人。久し振りの休暇で妻の実家に家族旅行に出掛けた伊吹隊長、グロテス星人はこともあろうに隊長の妻と娘を拉致しMAT解散を迫る。決然とその要求を拒否する伊吹に腹を立て、妻と娘も亡き者にしようとする。それを郷に阻まれると、今度は神社の御神体を巨大化させ、常にその背中に隠れるようにして闘う………。素行の悪さ、悪態の付き方、行き当たりばったりな計画などその辺のチンピラ以下である。よくもまぁこんな宇宙人がいたものだと呆れてしまうほどだ。そしてまたどうしようもないくらいのチープなデザイングロテスクから取ったと思われるネーミングも的外れ、グロさはなくただただ卑屈で滑稽なお姿である。そんなグロテス星人をどうしてラインナップに乗せるのか、造形した杉浦氏と発売元のボークスを少し恨みたくなった………。だが、乗ったものは仕方がない。きっちりと完成させるしかない。対峙した新マンとはまた違った気持ちで、グロテス星人に立ち向かった―――。  
塗装は中々に手間が掛かった。ベージュとウッドブラウンをベースにし、ブラウン系やホワイトを使ってドライブラシを行った。問題は身体に入った黒いラインである。着ぐるみを見ると、手描きとエアブラシでいい加減に色付けしてあるように見える。あまりきっちりやると違うものになるので、微妙なサジ加減で崩し気味に塗装した。決して手抜きではありませんのであしからず。星人も目が命。黄色く濁った目を表現するのは中々骨が折れた………。正直、この顔を見て何度となく気持ちが萎えそうになったが、手を抜かず最後までやり遂げた。完成したグロテス星人を机に乗せて眺めていると、これはこれで愛嬌があってどこか憎めない。やはりこのグロテス星人もウルトラの中にはなくてはならない存在の一つなのだ(………と思う)。



全高 全長 重量 原型
160mm 40mm 120g 杉浦 千里