第16話『大怪鳥テロチルスの謎』・第17話『怪鳥テロチルス東京大空爆』より 始祖怪鳥 テロチルス  
VOLKS JUNIOR ULTRA WORLD NO:072
 
夜の海、クルーザーの甲板上で唄い踊る若者達、だが、そのクルーザーに静かに近づくウエットスーツの男がいた………。松本三郎、鋭い目で船上を見上げ、躊躇なく時限爆弾をセットする。一緒に田舎から上京してきた幼馴染の由紀子を殺す為に………。その時白い粉雪が舞い始め、やがて轟音と共に黒い巨体が飛び去っていく。爆発するクルーザー、しかし由紀子は婚約者と共に恐ろしい風圧で海に投げ出され、一命を取り留めたのだった。それを知った松本三郎は―――。





先日、脚本家の上原正三さんとお話する機会があった。寡黙でありながら、口を開くととても楽しい。あの大きな目をさらに大きくして冗談をおっしゃられる姿がとても印象的だった。上原さんと言えばウルトラを根底から支えた一人である。金城さんの影に隠れがちだが、その功績はとてつもなく大きい。ご本人にもお伝えしたが、数あるウルトラ作品の中で僕にとってのベスト3は、グドン・ツインテールの前・後編、シーモンス・シーゴラスの前・後編、そしてテロチルスの前・後編なのだ。特にこのテロチルス編は異端である。怪獣よりも出演者が、特撮よりもドラマが先を行く展開となつている。子供心に初めて恋の物語を意識させられたと言っても過言ではない。実に多くの事を上原さんから教わったと思う。機会があれば、またゆっくりとお話をさせて頂きたい。
さて、ウルトラ怪獣を代表する大型の鳥類怪獣であるテロチルス。そんな鳥特有の軽やかさを原型の川岸氏はまたもや見事に表現している。足を曲げ翼を軽く広げて今にも飛び立ちそうな構えをみせるテロチルスのポージング、正面は真後ろからの写真では判り辛いと思うが、身体はかなり反りかえっている。体表には筋肉のラインがリアルに浮かび上がり、生々しい生命感を醸し出している。まことに素晴らしい出来栄えだと思う。  
塗装はブラックとレッドのコントラストをはっきりと打ち出すように、しかし、あまりに原色に片寄りすぎて安っぽく見えないように注意しながら行った。手足の爪を細くヤスリ掛けして鋭利なイメージを高めると、テロチルスの凄味がいっそう増してくる。



全高 重量 材質 原型
165mm 175g ウレタン樹脂 川岸 敬厳