その日は皆既日食だった。丘と郷はビルの屋上で宇宙の織り成す天体ショーを見つめていた。すると………、造花を握り締めた女が何処からともなく現れてこう呟く。
「今に大変な事が起きる………。北斗七星がなくなっている………」と―――。 それから暫くして巨大な流星が森に落下、そこからブクブクと泡を吹いて暴れ回るカニそっくりの怪獣、ザニカが姿を現した。
Q、マン、セブンのアイテムならば他の追随を許さないJr.ウルトラワールドも、新マンともなるとそのアイテム数は著しく減る。理由は幾つか挙げられる。人気怪獣が初期3作品に比べて少ない事、原型師の思い入れが薄い事、それはキットを求めるユーザー側も同じ事が言えると思う。かつてボークスの重田社長と対談した時、「すべての怪獣を出したかった」とおっしゃっていた。その言葉通り、バルダック星人やグロテス星人、ササヒラーなど新マン後期のマイナー怪獣までがラインナップに連なった。だが、社長の思いも届かず、すべての怪獣達が出揃う事はなかった………。そんな中、新たなメーカーが続々と誕生し、様々な怪獣が造型され、世に送り出され始めた。それはまるでJr.ウルトラワールドを完全無欠のコレクションにするかのように思えたものだ。このザニカもまさにそんな1体である――――。
造型はケチャップ堂の高野氏が行った。大きさはまさにJr.サイズとピッタリである。早速組み立てに取り掛かったのだが………、これが中々に手強かった。僕は普段ほとんど改造をしないのだが、このザニカだけはそういう訳にもいかなかった。というのも、背中の造型がほとんど成されていなかったから………。パテを盛り付け、リューターや彫刻刀で背中削り、特徴的なザニカの甲羅を造型した。これは中々に骨の折れる作業だった………。塗装はブラウン系をベースに、バフやイエロー等でドライブラシを行った。瞳はレッドにゴールドを混ぜ、輝きつつ奥行きが出るようにと頑張ってみた。いやはや、下地処理までに掛かった時間を考えれば、塗装は実にあっと言う間の出来事だった。
全高 |
重量 |
材質 |
原型 |
165mm |
185g |
ウレタン樹脂 |
高野 吉昭 |
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