「その山には竜が居り、入山した者は食われてしまう」。土地の人々は揃って「魔の山」と呼んだ…………。霧吹山。上空には乱気流が渦巻き、常に霧が立ち込め、岩は磁力を有して電波を狂わせてしまう。原因不明の転落事故で命を落とす登山者が続出する中、また今日も命知らず若者が二人、霧吹山に登っていた。霧の立ち込める山頂で二人が見たものは、蛇腹の身体に巨大な鋏の手を持つ、岩石怪獣サドラだった。
霧の中からヌッと現れるサドラ、凶悪な面構えを一層際立たせているのが、釣り上がって赤黄色に濁った瞳である。数あるウルトラ怪獣の中でも瞳の印象は、恐ろしさという点で必ず上位にランクされるものだと思う。サドラの瞳からは強さや凄さは感じられない。例えて言うならサディストとでもなろうか。普通ではない感じが色濃く漂っている。霧吹山に入山した登山者を次々に襲い、単身で調査を開始した加藤隊長を執拗に追いかける。洞窟に逃げ込んだ加藤隊長を引きずり出そうと、巨大な鋏を無理やり穴に入れようとする辺りは、まさにキレた一面を覗かせていた。
現在、サドラの名前は二種類の表記が使われている。「サドラー」と引っ張るものと「サドラ」と短く切ったもの。第3話のオープニングタイトルの表記にはサドラとされているが、怪獣の本を見ると表記はまちまちである。かくいうJr.ワールドの箱にはサドラーと引っ張る方が表記されている。これは一体どっちが正しいのだろうか?先だって講談社から発売した「ULTRA WORLD COLLECTION」、その際円谷プロの監修を受けた。表記は延ばすのではなく短いほう、「サドラ」。これが現在の公式なものである。
原型は杉浦氏が担当した。レッドキングを彷彿とさせる小さな頭部に蛇腹の身体、単純なシルエットがバランスよく構成されている。両手の大きな鋏の突き出し方などはいかにもと言わんばかりのポージングである。完成させて見ると意外にカッコ良く、キレた瞳を忘れて暫らく手元に飾っておいたサドラであった。
全高 |
重量 |
材質 |
原型 |
175mm |
230g |
ウレタン樹脂 |
杉浦 千里 |
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